季節の食卓

みなさん、こんにちは。フードビジネスコーディネーターの加賀谷恭子です。

仕事がら、いろんな食材を扱って調理をしています。食材は、季節ごとにおいしいものがあって、それは普段忘れかけている昔ながらのものもあれば、新しく生まれたものまで、本当に様々。折角ですから、これから私が出会ったいろんな食材を少しずつ取り上げて、食材のことから考えて作る“季節の食卓”をテーマに、コラムを毎月更新していこうと思っています。 
中でも、私はお野菜を中心とした極々シンプルな調理のごはんを得意としております。だって、農家のみなさんが手間隙かけて作った、自然のチカラが溢れんばかりのお野菜に触れると、余計なことはしちゃいけないなって思うんですよ。お野菜とじっくりお話して、一緒に調理法を決めたりしています。

複雑な調理や、派手なディスプレイはしません。普段、おうちで出来て、いつもよりちょっぴりステキ…という食卓を提案していきます。食べ物を見たり、触ったり、おうちでのごはんが楽しい!って思っていただけたらうれしいです。気が向いた時に、ふらりと見に来てくださいね!


第20回 「いつものごはんにフカヒレが入っている!
という食卓の巻」


お盆に、ロコディッシュのスタッフ にい奈 が帰省していたので、そこへ遊びに行ってみよう!ということになりました。宮城県気仙沼市。宮城と言えば伊達男♪気仙沼といえばフカヒレ♪行くに決まっています!
残念ながら伊達男には出会いませんでしたが、フカヒレはしっかり食べて来ましたよー!今まで、フカヒレ姿煮やフカヒレラーメンのような中華系しか食べていなかった私は、気仙沼でサラダとして出てきたレタスの上のフカヒレを見て、自由な発想に感心しました。そうなんです。日本で生産している食材なんだから、いつものごはんに登場したっていいじゃない!今年の夏は海に行って少し日焼けが気になっているところ・・・この時期に、ふかひれを普段のおうちのゴハンで気軽に食べてコラーゲンを取れるなら、そんなステキなことはありません。
で、作っちゃいました!フカヒレの食卓。

それでは早速、いつものごはんにフカヒレが入っている食卓です。

フカヒレって高いですよね。つい、盛りつけも「どうだ!フカヒレだぞ!!」という感じに気張ってしまいがち。でも、せっかくおウチの食卓に上がるのですから、いつもの器でサラッと盛りつけちゃいましょうよ。あれ?これにもフカヒレが入ってる・・・って感じに、さりげなく。

それでは、お料理の説明です。

フカヒレの戻し方

世の中便利になったもので、簡単に戻せる乾燥フカヒレをちゃんと作ってくれているところがあるんですね。「フカヒレは、家で食べるものじゃない。せいぜいレトルトでしょ・・・」なんて思っていたことを反省してしまいました。 実は私、フカヒレ調理初挑戦!!

  1. 熱湯に乾燥フカヒレを入れて、中火で10分くらい煮ます


    ←熱湯に入れた瞬間、くしゅくしゅっと小さくなるので、ちょっと心配になってしまいました・・・

  1. 火を止めてそのまま放置。冷めたら新しい水に入れ替えて一晩おきます














    ←一晩おいたら、見た目はふっくらとしてきました。まだ、ゴムみたいな触感で、海の生物の生臭みがあります

  1. 熱湯にぶつ切りにした長ネギと、スライスした生姜を入れて、中火で30分臭みを抜きます

  1. 柔らかくなったら、水に取って冷やします


    ←臭みも抜けて、少し触るだけでツルツルペタペタ、コラーゲンな感触。箸で持ち上げるだけでするーっと裂けてくるところもあるくらい、柔らかくなりました。 さぁ、ここまでやれば、後は味付けだけです。

 

きのことふかひれのあんかけ丼

きのこの美味しい季節になりました。きのこから出るおいしい出汁をふかひれに染みこませて、あんかけにしてごはんにかけます。はちみつ黒酢あんを使って。

  1. まず、鰹と昆布で出汁を取ります。 出汁の取り方は、季節の食卓2006年9月号参照。おみおつけでも使うので多めに作ります


  2. まいたけ、ぶなじめじ、えのきを一口大にちぎります


  3. 出汁(5):はちみつ(1):黒酢(1):酒(1)くらいの割合で入れて火にかけ、醤油を少し加えて好みの味に調えます。丼のあんになるので、味は少し濃いめが良いです

  4. 4沸騰した出汁にきのことふかひれを入れて、表面がふつふつするくらいの火加減で少し煮ます

  5. きのこがしんなりしてきたら、沸騰したまま同量の水で溶いた片栗粉を少しずつ入れながら素早く混ぜます

    *鍋を回して混ぜると、フカヒレの煮くずれが防げます

  6. 透明になってきたら、強火でさらに40秒、粉っぽさを飛ばします

  7. ごはんにかけて、上におろした生姜をのせ、小ネギを散らします

夕顔とふかひれのだしびたし

にい奈の実家の庭でおばあちゃんが育てた立派な夕顔。よく煮浸しにして食べるということなので、私も煮浸しにしてみました。前回の季節の食卓で登場した「冬瓜」と同じウリ科なので、冬瓜の代わりに夕顔を使ってみては?


  1. 夕顔は適当な長さに切ってから、縦4つくらいに割って皮を剥き、中心の綿とタネ を取って一口大に切ります

  1. フカヒレ丼で取った出汁に、みりん、酒、薄口醤油で味を調えてから、夕顔とフカヒレを入れて煮ます

  2. 夕顔が半透明になったら、火を止めてそのまま冷まします

    *冷めていく時に、出汁の味が染みこみます
    *冷蔵庫で冷やすと◎です

三陸わかめの酢の物

今度は、にい奈のお父さんの実家からいただいた「わかめ」。リアス式の気仙沼は、深くでキレイな水、水温の差も少なく海草類がおいしいんです!肉厚なのに、水で戻しただけでとっても柔らか。シンプルに三杯酢でいただきます。そして、これにもフカヒレを!


  1. 塩蔵わかめは、水に浸して塩抜きします


  2. 三杯酢を作ります。基本は、酢:醤油:糖=3:1:1

    *酢を柑橘の果汁に替えたり、醤油を白だしにしたり、糖もきび糖や黒糖を混ぜたり、いろんなバリエーションを楽しみましょう。


  3. わかめを一口大に切り、フカヒレを少し裂いて、三杯酢で和えます

牛すじ煮

牛すじと一緒に煮付けました。コラーゲン満載の一品です。

  1. 牛すじを下ゆでして、一旦ゆで汁をこぼします

  2. 鍋に牛すじがかぶるくらいにお酒と水を半々で入れて、生姜の千切り一かけ分、きび糖、蜂蜜を少し甘めかな?というくらい入れて、落としぶたをして火にかけます

  3. 弱火でコトコト、牛すじが煮汁に漬かっているように蒸発した水を足しながら、柔らかくなるまで煮ます

  4. 柔らかくなったら醤油を入れ、味を調えます

  5. フカヒレを入れて、フカヒレが煮汁を含んで茶色くなったら出来上がり

フカヒレのおさしみ
おさしみは、醤油やわさびなど、付けるものの味が直接入ってくるので、お気に入りの醤油やわさびを使ってくださいね。だし醤油も、柔らかい味でおいしいです。
  1. 手で一口大にちぎって、並べます

生青のりとフカヒレのおみおつけ
おみおつけにも入れちゃいました。食感さえ邪魔しなければ、フカヒレって何でも合いますね。
  1. 昆布と鰹の出汁に、味噌を溶き、フカヒレを入れて沸騰させないように少し煮ます

  2. 生青のりを入れて出来上がり

それでは、もう書くまでもない今回の主役。

鱶鰭(ふかひれ)
 サメのヒレです。皮や骨や余分な脂肪分などを取り除いて、乾燥させたものを調理します。
  無味の美味とも言われる、食感がおいしいフカヒレ。「食べものは食感重視!」の私は、フカヒレの食感がたまらなく好きです。
今回ご紹介したように、戻す時間はかかりますが、さほど手間はかかりませんので、時々食卓に登場すると楽しい食材だなと思います。

選び方

水揚げ量全国第1位を誇る気仙沼では、吉切鮫(よしきりざめ)、毛鹿鮫(もうかざめ)、青鮫(あおざめ)、尾長鮫(おながざめ)などのサメが揚がるそうです。
で、それらのサメの手びれ、背びれ、尾びれ、腹びれ、尻びれなどが、加工されてフカヒレに。大きさや厚みなどが変わってきます。金額と比例しますね。
スープなどのレトルトもたくさんありますが、やはり食感は全然違うものなので、少しもったいないような気がしてしまいます。

栄養

 なんと言っても「コラーゲン」と「コンドロイチン」。肌の劣化を防いでくれます。もちろん食べてすぐにツルツルになるわけではありませんが、翌朝、ツルツルになったよう気分になるのもたまには良いかな・・・と思いますよ。
  コラーゲンが添加された栄養ドリンクやサプリメントもたくさん出ていますが、そんなドリンクを一気飲みするより、フカヒレを触って、調理して、美味しく食べると、お肌ツルツル気分が高まるのです!

ではでは、「季節の食卓」来月もお楽しみに〜♪