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更新: 2/19/05
 
 

2月18日に開かれた平成17年第1回定例市議会の冒頭で、松崎市長が述べた平成17年度の施政方針です。オリジナル版はPDFで面倒なので、HTMLにしてみました。

なかなか興味深い内容が多いです。赤字は管理人が勝手に入れたものです。

 

平成17年度 施政方針


浦安市

平成17年浦安市議会第1 回定例会を招集し、平成17年度の予算案 をはじめ、関係諸議案のご審議をお願いするにあたり、私の所信の一端と新年度の主な施策の概要を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと思います。

市政運営の基本的考え

私は今、地方分権が進むなかで、地方自治体は大きな自己変革の時期を迎えていると強く認識しています。時代は、高度経済成長期・バブル経済期などの右肩上がりの経済が
あたり前であった時代から、現在急速な高齢化に加えて、 未曾有 みぞう の少子化が拍車をかけ、持続可能性の危機とも思える右肩下がりの時代へとそのシフトを大きく変えてきています。
このような経済環境・社会状況のもとで、国も地方自治体も、時代の変化に対応するべく、明治以来長く続いた行政に対する意識改革が迫られ、それも行政にかかわる者自らが成さなければならない、まさに喫緊の要となっています。
「コスト意識」「競争原理の導入」「成果志向主義」「顧客志向」など、経営・ビジネスの世界ではあたり前のことが「N P M ( ニュー・パブリック・マネジメント)」として、ここ数年行政の分野で脚光を浴びています。 さらに、地方自治体を取り巻く環境は、「ガバナンス」「P P P (パブリック・プライベート・パートナーシップ)」など、新しい概念が次々と生まれています。
加えて「P F I( プライベート・ファイナンス・イニシアチィブ)」「指定管理者制度」「市場化テスト」などの新しい制度や試みが始まっています。私は、特に市民意識が高い浦安市では、今、 真摯 しんし に「職員の意識改革」を果たさなければ、市民と行政との間に、埋めようのない不信感を醸成させてしまうとの危機感を持っています。
さらに、これからの自治体のキーワードは、「協働」「市民参加」といわれています。本市では市民意識の高さを証明するかのように、様々な分野でボランティア活動やN P O 活動など、実りある市民活動が活発に展開されていますが、これからの行政は、すべてを「行政」が行うのではなく、市民を「公共」の担い手であるパートナーと捉えなければなりません。
今まで、ともすると「公」と「私」、あるいは「官」と「民」といった概念で分けていました。しかし、新たな公共の担い手、言葉を換えていえば、市民ニーズの新たな担い手としてのN P O などのセクターの誕生が、「公共」のあり方の議論に拍車をかけています。
このようななかで、「スマート・ガバメント」を目指し、行政としてやらなければならないことの見極めを、事務事業評価をさらに進めて、施策評価・政策評価にまで踏み込んで検討する時期が来たと思っています。
時代の転換期のまっただなかで、自治体間競争が加速しています。
私は、市長就任以来、地方分権の基本は、地域の特性に応じた市民ニーズをいかにきめ細かく行政が的確につかみ、かつ、それにこたえるか、にあると考えています。
幸い、昨年、日本経済新聞社と日経産業消費研究所が行った695市と東京23区をあわせた全国718自治体の行政ランキングで、本市は前回の調査と比べ、行政サービス度で24位から3 位にランクインし、行政革新度で104位から54位に順位を上げました。
この評価におごることなく、平成17年度は、「第3 次実施計画」の策定にあたる年度でもあり、基本計画の重点プランをベースに、「子ども」「青少年」「働く世代」「高齢者」「障害をもつ人」にきめ細かく配慮した新たな施策や事業を展開していく所存です。
加えて、今、顧客を捕らえて放さない、いわゆる勝ち組企業の組織は、顧客を上位に据え、顧客に直接接する組織の末端を上位の次に、 さらに幹部社員をその下位に配置するなど、まさにピラミッドが逆転した逆三角形になっています。
市民を顧客と捉えるN P M から見ても、市民の福祉の向上を目的とする地方自治体の使命から見ても、至極当然といった結論ですが、「現場にこそすべての課題や解決のカギがある。」ということを、強く自覚し、市民に飛び込む市役所を、職員の意識改革とともにつくり上げていかなければならないと決意しています。

財政の状況と見通し

平成17年度の日本経済は、雇用・所得環境の改善により、引き続き民間需要中心の緩やかな回復が続くものと見込まれています。また、政府・日銀が一体となった取組により、デフレからの脱却に向けた進展も見込まれるところです。
こうした結果、平成17年度の国内総生産の実質成長率は、1.6%程度( 名目成長率は1.3%程度)になるものと見込まれていますが、他方で、今後の原油価格や世界経済の動向など、我が国経済に与える影響に留意する必要があります。
国の財政状況は、平成16年度予算において、公債依存度が44.6%に及ぶなど、先進国のいずれの国と比較しても極めて深刻な状況となっています。また、歳入歳出構造はますます硬直化しており、財政構造の思い切った見直しがなければ、歳出と税収のギャップは、年々拡大していく可能性が高い状況となっています。
こうしたなか、国の平成17年度予算は、歳出改革路線を堅持・強化する方針のもと、一般歳出は、3 年ぶりに前年度の水準以下に抑制されました。
また、「三位一体の改革」については、先送りされた事項もありますが、地方自治体と国が対等に議論できたことは、地方自治の歴史に大きな一歩をしるしたものと考えています。
地方財政は、我が国経済の厳しい状況を反映し、地方税収などが低迷する一方で、数次の景気対策による公共事業の追加や、減税の実施などにより、地方財政全体の借入金残高が平成16年度末で、204兆円に達する見込みとなっています。今後、その元利償還が財政を圧迫する要因となることから、構造的にみて極めて厳しい状況にあり、特に、千葉県は、かつてない激動期に直面しており、財政再建団体への転落もありうる危機的な財政状況を脱しようと、財政構造の抜本的な改革に取り組んでいます。
一方、本市の財政状況については、極めて厳しい状況が続く地方財政のなかにあって、前年度を上回る市税収入が確保できる見込であることに加え、150億円を超す財政調整基金を保有し、地方債の現在高についても13億円程度減少するなど、他の地方自治体と比べ恵まれた財政状況にあるといえます。
しかしながら、地方分権の進展や少子・高齢化の進行、県の財政改革による影響など、本市を取り巻く社会環境が変化していくなかで、今後、本市の財政構造も大きく変化していくことが予測されることから、決して楽観できる状況にはないものと認識しています。

主な行政課題の認識

国立社会保障・人口問題研究所では、日本の人口は、2006年をピークに減少に転じ、2100年には現在の半分程度にまで減少すると予測しています。
日本の将来の担い手である次世代の育成支援は、まさに国家的な緊急課題です。先月の28日・29日の2 日間、文化会館において「第4 回次世代育成支援推進全国フォーラム」が開催され、市民や関係者延べ1,000人を超える参加者がありましたが、地域や職場、行政それぞれが役割を担い、安心して子どもを産み、育てられるまち、子どもたち自身が健やかに成長できるまち、そしてこれから親となる世代の育成に取り組むまちづくりの重要性を改めて認識しました。
そのため、新たな保育所の整備を進めるとともに、児童育成クラブのあり方や食育の問題、世代間の交流など、放課後の児童・生徒の過ごし方について、新しいアイデアや取り組みを検討していく必要があります。
昨年4 月1 日現在での本市の高齢化率は8.6% で、全国平均の19.5% と比べると半分以下、依然、全国屈指の若いまちではありますが、高齢化は着実に進んでいます。
こうした高齢化の問題はどちらかといえばネガティブに捉えられがちですが、私はこれを逆にポジティブに考えていく必要があると考えています。高齢者の方々が持つ豊富な知識や経験を地域の貴重な財産とし、これを市民力、地域力として積極的に地域のまちづくりに活かしていくシステムづくりが求められていると考えます。
昨年は、記録的な猛暑、相次ぐ台風の上陸、新潟県中越地震など、日本各地で自然が猛威を振るった年でした。新潟県中越地震では、新潟県小千谷市の要請を受け、地震発生直後の10月25日から32日間で、延べ39名の職員を現地に派遣し、救援物資の搬送や道路の被害状況の調査などにあたりました。
市民の生命や財産を守るため、こうした取り組みを貴重な経験とし、今後の本市の防災対策に活かしていく必要があります。
また、近年、全国的に犯罪の発生件数が増加していますが、東京に隣接し人口が増加している本市では、その傾向が顕著になっています。
すべての市民が安全で安心して暮らすことのできる、犯罪が発生しにくいまちにしていくためには、もちろん警察力を増強することが必要ですが、これだけに依存するのではなく、地域が一体となって積極的に防犯活動に取り組んでいくことが重要です。
低成長の時代が続くなか、本市を取り巻く社会経済状況は依然として厳しいものがあります。
都市経営の視点に立ち、より効率的で効果的な行財政運営を進めるためにも、歳出の見直しはもちろんですが、新たな財源の確保や税の徴収率の向上に取り組む必要があります。

平成17年度の予算と組織

こうした課題認識を踏まえ、第2 次実施計画の2年度目となる平成17年度は、まちづくりの基本目標である『人が輝き躍動するまち・浦安』の実現を目指し、財政調整基金から47億2,000万円を繰り入れるなど、基本計画に掲げた7 つの重点プラン及び第2 次実施計画に位置づけた事業を中心に重点的に配分し、予算編成を行いました。
この結果、予算規模は、一般会計で、556億1,000万円となり、前年度に比べ22億5,000万円、3.9% の減となりました。また、特別会計は、6会計あわせ204億7,700万円、前年度に比べ3億3,560万円、1.6% の減となっています。
なお、本市を取り巻く社会環境の変化に対応するため、行政組織の見直しを行います。
まず、子育て支援策の充実及び強化を図るため、保健福祉部子育て家庭課から保育所に関する事務を分離し、保育課を新設します。
学校施設の新設や増加に伴い、施設の適正な維持管理を行うため、
教育委員会教育総務部教育総務課から、施設関係の事務を分離し、教育施設課を新設します。
また、経営企画部課税課を市民税課と固定資産税課に分割します。
また、重点課題に対応するため、総務部総務課に政策法務室を、経営企画部企画政策課に庁舎建設準備室を、収税課に徴収対策室を設置
します。

平成17年度の主要施策・事業

それでは、新年度の主要施策、事業につきまして、総合計画の施策体系に沿って申し述べます。

生き生きと暮らせる心のかよう健康福祉都市

はじめに、「生き生きと暮らせる心のかよう健康福祉都市」から、まず、「生涯健康づくりを推進する」についてです。
健康づくりの推進につきましては、市民一人ひとりの主体的な健康づくりを推進するため、健康うらやす21計画にもとづき、疾病の早期発見・早期治療に向け、乳がん検診や成人歯科健診の充実を図るとともに、前立腺がん検診を実施します。また、学校や地域と連携し、児童・生徒の欠食や孤食などの食育に関する問題に取り組みます。
地域医療体制の確立につきましては、浦安市川市民病院が、地域医療を担う、より機能性の高い病院となるよう、市川市や市民病院と連携して再整備を進めます。
次に、「やさしさと思いやりのある福祉を推進する」についてです。
在宅福祉の推進につきましては、基礎調査をもとに平成18年度の介護保険制度の改正を見極めながら、第3 期介護保険事業計画の策定と老人保健福祉計画の見直しを行います。
また、在宅での生活を支える施設サービスの充実を図るため、特別養護老人ホームに老人短期入所施設の増床を図るとともに、隣接地での民設民営による介護老人保健施設の整備を促進します。
また、平成18年4 月に開設する新浦安駅前複合施設に在宅介護支援センターを設置します。
やすらぎの街構想につきましては、現在進めている検討を引き続き行っていきます。
子ども・子育て家庭への支援につきましては、子どもと家庭を取り巻く生活環境が、大きく変化していることを踏まえ、仮称子育て支援総合計画にもとづき、総合的な施策の実施に努めます。
特に、保育サービスの充実につきましては、増加する保育需要に対応するため、緊急保育5 ヵ年計画にもとづき、法務局浦安出張所跡地にふたば保育園を4 月に開園するとともに、入船北幼稚園を転用した入船北保育園を整備します。また、富士見地区及び新浦安駅前複合施設の認可私立保育園の整備を促進します。
また、認可外保育所に通う児童の安全管理や健康保持などを促進するため、認可外保育所への支援を行います。
児童育成クラブにつきましては、北部小学校地区児童育成クラブの入会児童の増加に対応するため、分室を設置します。また、仮称第16小学校及び仮称第17小学校の平成18年4 月の開校にあわせ、児童育成クラブを整備します。また、入船南小学校地区児童育成クラブの新設に向け、設計を行います。
援護を必要とする子どもや家庭への支援につきましては、児童虐待の防止に向け、こども家庭支援センターを中心に、関係機関との連携や相談・支援体制の強化・充実を図ります。
自立・社会参加の促進につきましては、障害者福祉センターや精神障害者共同作業所を拠点に、引き続き障害をもつ人の自立と社会参加を支援するとともに、新浦安駅前複合施設に、民間事業者の運営による就労の場を整備します。また、千鳥地区における就労支援施設の整備について、引き続き検討します。
高齢者の社会参加につきましては、高齢者が地域で生き生きと生活できるよう、高齢者が参画する、地域での交流やボランティア活動など様々な活動機会の創出に取り組みます。
また、地域の高齢者のコミュニティ活動の拠点として、富岡三丁目に老人クラブ会館を建設するとともに、明海地区での老人クラブ会館の建設に向け、設計を行います。
次に、「相互に支え合う福祉の基礎をつくる」についてです。
地域福祉の推進につきましては、地域福祉計画にもとづき、福祉施策や市民の福祉活動を総合的かつ効率的に展開します。
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福祉のまちづくりの推進につきましては、交通バリアフリー基本構想にもとづき、新浦安駅利用者のためのエレベーターの設置に向け、設計を行います。

創造と交流で築く市民文化都市

次に、「創造と交流で築く市民文化都市」です。
まず、「ふれあいと交流に満ちたまちづくりを進める」についてです。
コミュニティの推進につきましては、コミュニティ活動のさらなる活性化を図るため、その活動拠点となる自治会集会所の整備を進めます。堀江三丁目自治会集会所については、自治会の再編成に伴う会員の増加に対応するため、施設を移転新築します。また、グランファースト新浦安自治会集会所の建設に向け、設計を行います。
国際化への対応につきましては、引き続き市民主体の国際交流を支援するとともに、新浦安駅前複合施設に本市の国際交流の拠点となる仮称国際センターを設置します。
男女共同参画社会の形成につきましては、女性プラザを拠点に男女共同参画に関する情報提供や啓発事業に取り組むとともに、相談件数の増加に対応するため、相談事業の充実を図ります。特に、ドメスティック・バイオレンス対策につきましては、県や関係機関と連携を図りながら、相談や緊急避難支援、緊急一時保護など、被害者支援に取り組みます。また、男女共同参画プランの見直しに向け、市民意識調査を実施します。
市民の人権意識を啓発するため、市川人権啓発活動地域ネットワーク協議会との共催で、「ヒューマンフェスタうらやす」を開催します。
ボランティア・N P O の振興につきましては、引き続き市民活動センターを拠点に、様々な情報の提供や団体・人材の育成に努めるとともに、市民活動団体の公益性の高い事業を支援します。
また、市民活動センターや補助金審査会の運営について助言していただくため、新たに市民活動に関する有識者をアドバイザーとして配置します。
また、ボランティア・N P O との協働を適切に進めるため、ガイドラインを策定します。
平和施策の推進につきましては、平和意識の醸成を図るため、小・中学生を対象とした被爆体験講話や、長崎で行われる平和プログラムに中学生を派遣する平和学習青少年派遣事業を引き続き実施します。
また、平成17年度は非核平和都市宣言20周年にあたることから、記念事業をとおして平和施策の推進と啓発活動に努めます。
次に、「創造性と個性を育てる生涯学習を推進する」についてです。
生涯学習推進体制の整備につきましては、市民の多様な学習ニーズにこたえられるよう、図書館資料の充実に努めるとともに、引き続き明海大学との連携を推進し、大学図書館の市民利用を促進します。
また、図書館利用者の利便性の向上を図るため、新浦安駅前複合施設に、図書の受渡しや返却を行うコーナーを設置します。また、中央図書館に休憩や飲食のためのスペースを増築します。
学校教育の充実につきましては、新町地域の住宅開発の進展に対応するため、4 月に日の出南小学校を開校します。また、平成18年4 月の開校に向け、明海地区に仮称第16小学校及び仮称第8 中学校、高洲地区に仮称第17小学校を建設します。
また、学校給食センターにつきましては、第一調理場の老朽化と狭あい化に対応するため、平成18年4 月の開設に向け、千鳥地区に学校給食センターをP F I 方式で整備します。
また、引き続き、幼稚園・学校ごとに組織する支援協議会に補助金を交付し、学校と保護者、地域が一体となった開かれた学校づくりを推進します。
また、学校の独自性や活性化を図るため、時代の要請に応じた教育課題に取り組み、地域・学校の特色を活かした学校づくりを推進する研究実施学校を引き続き支援します。
また、子どもたちの情報活用能力を育成するため、引き続き学校の情報環境整備を進めます。
また、不登校の児童・生徒やその保護者を支援するため、引き続き民間団体の協力を得ながら、オープンスクール☆ Wish ウィッシュ において、心理的な支援や居場所の提供など、きめ細かな取組を続けます。
本市教育の質的向上を図るため、学校・家庭・地域・行政がともに考える場として、教育フォーラムや講演会を開催するとともに、教育情報誌の発行や教育課題の調査・研究、教職員の体系的な研修に取り組みます。
青少年の健全育成につきましては、青少年相互の交流促進や自主的な活動を支援するため、引き続き青少年館事業の充実と利用促進に努めるとともに、新浦安駅前複合施設に民間事業者の運営による青少年交流施設を設置します。
また、日の出地区に、株式会社オリエンタルランドとの共同事業による宿泊型研修施設として、青少年交流活動センターを12月に開設します。
芸術・文化活動の振興につきましては、市民文化の振興のあり方などを示す文化振興ビジョンを策定します。
また、「博物館も学校である」という基本コンセプトにもとづき、博物館と学校の融合事業を推進するとともに、平成17年度が、郷土博物館開館5 周年にあたることから、郷土うらやすに対する意識と理解を深めるため、記念式典や企画展を開催します。
生涯スポーツの振興につきましては、多くの市民がスポーツやレクリエーション活動に参加できるよう、引き続き「浦安シティマラソン」や「スポーツフェア」を開催するなど、スポーツ機会の充実に努めます。また、生涯スポーツの振興を図るため、スポーツ団体を育成・支援します。
また、8 月に全国高等学校総合体育大会の空手道競技が、本市で開催されることから、大会の成功に向け、万全を期して運営にあたります。
次に、「暮らしが広がる情報化を推進する」についてです。
情報化の推進につきましては、電子自治体の構築に向け、窓口となるホームページの機能拡充を進めるとともに、ダウンロードできる申請・届出書類の拡充と、手続のオンライン化に取り組みます。また、文書管理システムを導入し、事務の簡素化・効率化を進めるとともに、より適正な文書管理を図ります。
また、情報資産を保護するため、適切な情報セキュリティ対策を実施します。
また、より効率的な情報化を推進するため、C I O ( 最高情報責任者) を補佐する人材を専門委員として配置します。

水と緑に囲まれた快適環境都市

次に、「水と緑に囲まれた快適環境都市」です。
まず、「身近なところから地球環境を保全する」についてです。
地球環境問題への対応につきましては、環境フェアやアイドリングストップ運動などの啓発活動を推進するとともに、都市部でのヒートアイランド現象対策として、市民や自治会の協力を得ながら、夏に「打ち水大作戦」を行います。
また、平成13年度に策定した地球温暖化防止実行計画の改訂に向け、基礎調査を実施します。
環境保全対策の充実につきましては、環境基本計画にもとづき、望ましい環境を創出するため、市民、事業者、行政などが、生活や事業活動において配慮すべき事柄をまとめた、環境配慮指針の策定に向け、基礎調査を実施します。
また、近年、新たな都市・生活型公害が問題化していることから、市民の生活環境を保全するため、残土条例や環境保全条例の制定に取り組みます。
また、地域の環境に関する情報を、市民や児童・生徒の参加を得ながら整理・把握し、環境学習などに活用できるよう、環境マップの作成に取り組みます。
羽田空港再拡張事業の実施に伴う騒音問題につきましては、昨年、飛行ルートが修正され、着陸機が本市住宅地上空を低空飛行することは回避されましたが、その後の本市独自の航空機騒音調査によって、標準飛行経路を外れていることや、特異音を発する着陸機があることなどが明らかになり、国土交通省に標準飛行経路での飛行を遵守するとともに原因究明を申し入れたところです。
さらに、本年2月には本市の地域特性と生活環境に十分配慮して環境影響評価を行うよう、県に意見書を提出するとともに、深夜・早朝時間帯における国際定期便の就航に対しては、航空機騒音を含め市民生活に多大な影響を及ぼす可能性があることから、到底、認められないことを主張しました。
今後も航空機騒音に関する継続的な調査を実施するとともに、情報収集に努め、良好な生活環境が確保できるよう、県や関係自治体と連携を図りながら、国に対してこの問題の解決を求めていきます。
次に、「快適な生活環境を整備する」についてです。
住宅対策の推進につきましては、東野地区において、借上げ方式による市営住宅を整備します。
また、引き続き分譲集合住宅の共用部分のバリアフリー化を促進するとともに、平成16年度に実施した実態調査を踏まえ、今後の集合住宅への支援について検討します。
廃棄物対策の充実につきましては、ごみの適正処理や減量化・再資源化を推進するため、家庭ごみの収集について、指定ごみ袋制度を実施するとともに、引き続きマイバッグ運動の推進など、市民への啓発活動に取り組みます。また、少量排出事業者については、有料の指定ごみ袋制度を実施します。
稼働から10年目となるクリーンセンターについては、老朽化対策や設備の更新に関する、中・長期の整備計画の策定に向け、引き続き検討を進めるとともに、各設備の状況を的確に把握するため、保全システムの整備に取り組みます。
下水道の整備につきましては、引き続き未整備地区の整備に努め、供用区域の拡大を図ります。また、下水道事業の普及・啓発を積極的に行い、未接続世帯の解消に努めます。
墓地公園につきましては、利用者の利便性の向上を図るため、法要などができる集会施設や管理棟の設計を行います。また、墓地公園周辺の開発の 進捗 しんちょく にあわせ、暫定道路を整備します。
火葬場と葬儀式場を併設した斎場を7 月に千鳥地区に開設します。
次に、「生活にうるおいを与える環境を創造する」についてです。
公園・緑地の整備につきましては、総合公園について、平成18年度の一部開園に向け、引き続き整備を進めます。
旧清掃工場等跡地で整備を進めている弁天ふれあいの森公園については、第1 期工事区域を開放するとともに、第2 期工事として、湾岸道路側約1 ヘクタールを整備します。
また、老朽化が課題となっている公園については、近隣自治会などとの調整を図りながら、より市民に親しまれる公園となるよう、計画的に再整備を進めます。
緑化の推進につきましては、市民が公園や花壇などの公共空間で行う花植え運動などの緑化活動を、引き続き支援するとともに、活動の場となる緑化推進施設を明海の丘公園に続き、弁天ふれあいの森公園に建設します。
都市景観の創造につきましては、平成16年に制定された景観法の理念にもとづき、市民が愛着をもつ、美しく個性ある都市景観の創造に向け、市民との協働のもと、景観行政の指針となる景観マスタープランの策定に取り組みます。
水辺空間の創出につきましては、境川水辺空間整備事業における新橋から江川橋までのBゾーンの整備に向け、県や関係機関との協議を進めます。

利便の高い暮らしを支える安全都市

次に、「利便の高い暮らしを支える安全都市」です。
まず、「秩序ある市街地の整備を進める」についてです。
良好な市街地の形成につきましては、市民の主体的なまちづくりを支援するとともに、本市の実情に応じた都市計画を進めるため、市街地環境の分析結果をもとに、適切な地域地区の指定などについて、調査・検討します。
過密市街地の再整備につきましては、堀江・猫実元町地区の重要課題である、仮称中大通り線とその沿道市街地の整備について、昨年設置した、関係権利者や周辺住民、行政で構成する「まちづくり・道づくりを考える会」において、事業の方向性について、さらに話し合いを進めます。
日の出・明海・高洲地区開発の促進につきましては、市川二期埋立計画の中止など、新町地域を取り巻く環境の変化に対応するため、新町地域の土地利用について、県企業庁など関係機関と協議を進めます。
次に、「総合的な交通体系を整備する」についてです。
道路網の整備につきましては、道路パトロールや市民からの要望を重視し、道路の適切な維持・管理に努めるとともに、幹線4 号富士見側について、快適に通行できるよう改修に向け実施設計を行います。
また、引き続き、みなと線の第3 工区を整備します。
公共交通網の充実につきましては、斎場へのバス路線の延伸や、交通バリアフリーの観点からノンステップバスの導入促進など、バス利用者の利便性の向上を図ります。
また、おさんぽバスについては、これまでの調査・検討をもとに、新規路線の平成18年度運行へ向け、実施計画を策定します。
自転車利用環境の整備につきましては、駅周辺での放置自転車や自転車利用者の増加に対応するため、引き続き、浦安駅周辺での自転車駐車場整備を進めるとともに、新浦安駅前複合施設に約2,000台収容の自転車駐車場を設置します。
また、北栄保管場所の狭あい化に伴い、放置自転車の撤去に支障をきたさぬよう、首都高速湾岸線高架下での自転車保管場所の整備に向け、関係機関との協議を進めます。
交通安全対策の充実につきましては、高齢者や障害をもつ人の視点に立った道路環境の充実に努めます。
また、北栄地区住区総合交通安全モデル事業として、引き続き市道第1 − 55号線を整備します。
また、猫実川遊水池周辺整備事業については、歩行者の安全性を確保するため、県と協議しながら護岸の一部を撤去し、歩道の設置や修景施設の整備に取り組みます。
次に、「災害に強く犯罪のない安全な暮らしを実現する」についてです。
防災体制の確立につきましては、防災基礎調査にもとづき、地域防災計画( 震災編) の改訂に取り組みます。
また、災害などの停電時における夜間の避難誘導を円滑に進めるため、非常時でも点灯する街灯を、幹線1 号宮前通りの主要交差点に設置するとともに、既設の街灯の省エネルギー化を進めます。
消防体制の確立につきましては、消防本部・署庁舎の建設に向け、実施設計を行うとともに、高機能消防指令システムの導入に向けた検討を進めます。
常備消防車両や消防団用ポンプ自動車の更新を進めるとともに、災害時における消火用水を確保するため、耐震性貯水槽を2 ヶ所設置します。
救急活動の高度化に対応するため、引き続き救急救命士の養成に努めます。
防犯体制の確立につきましては、すべての市民が安全で安心して生活することができるよう、犯罪が発生しにくい環境をつくるため、国や県などと連携を図り、緊急通信システムを備えたスーパー防犯灯の設置や夜間パトロールを実施します。
また、市民、自治会やP T A など地域で活動する団体及び事業者が行う自主防犯活動に対し、情報の提供やパトロールに必要な物資の貸与など、積極的に支援します。
また、人口が増加している新町地域につきましては、地域の防犯拠点として交番の設置が急務となっており、市ではこれまで、様々な機会を通じて、県に対し交番の設置を要望してきたところですが、日の出地区での交番設置が具体化してきましたので、一日も早い交番設置に向け、引き続き県に働きかけていきます。
排水・治水対策の充実につきましては、本市の雨水排水の現況を踏まえながら、市民や学識者からなる懇談会を設置し、今後の排水施設整備の基本的方向性を示す、排水基本計画の策定に向け検討を進めます。
なお、集中豪雨の際、道路冠水する地区については、緊急的な排水対策を検討します。
また、県が、旧江戸川下流部で行っている高潮対策事業による護岸整備を促進します。

多様な機能が生み出す魅力あふれる産業都市

次に、「多様な機能が生み出す魅力あふれる産業都市」です。
まず、「魅力ある観光・リゾートを振興する」についてです。
舞浜アーバンリゾートの振興につきましては、舞浜地区で県が進めている高潮対策事業について、アーバンリゾートゾーンにふさわしい整備が早期になされるよう、県や関係機関と引き続き協議を進めます。
次に、「新しい時代に対応した地域産業を振興する」についてです。
まず、商業・サービス業の振興につきましては、産業振興ビジョンを踏まえ、創業支援や中小企業支援などの取組を進めます。
また、観光協会が、新浦安駅前複合施設に設置する観光案内所について、本市の観光情報発信の拠点となるよう支援します。
工業の振興につきましては、操業環境の向上を図るため、千鳥地区への工場移転を促進する中小企業工場適地移転支援事業の取組を進めます。
消費生活の向上につきましては、携帯電話やインターネットの普及に伴い、不当請求などのトラブルが増加していることから、被害を未然に防止するため、消費生活センターを拠点に啓発活動や情報提供、相談、消費者教育などに取り組みます。
次に、「まちの活力を支える拠点づくりを進める」についてです。
駅周辺の整備につきましては、浦安駅周辺でのバス利用者の利便性や自転車利用環境の向上など、短期的に実施可能な方策について検討を進めます。
新浦安駅周辺については、平成18年4 月の開設を目途に、行政サービスセンター、仮称国際センター、自転車駐車場、子育て支援施設な
ど15施設で構成する新浦安駅前複合施設を、P F I 方式で整備します。

計画実現のために

最後に、「計画実現のために」です。
「市民主体のまちづくりの推進」につきましては、市民参加推進条例や市民参加推進計画にもとづき、積極的に市民参加を図りながら、施策や事業を進めます。
また、公正で開かれた行政を推進するため、広聴広報活動の充実に努めるとともに、行政情報の一層の公開を図ります。
次に、「都市経営の視点に立った行財政運営」につきましては、より効率的で効果的な行財政運営を図るため、行政改革大綱及び第2 次行政改革推進計画にもとづき、引き続き行政改革を推進します。
公の施設の管理・運営につきましては、指定管理者制度の導入を進めます。
職員の意識改革を図りつつ、事業の有効性を検証するため、引き続き事務事業評価に取り組むとともに、施策評価の導入を進めます。
地方分権の進展に伴い、地域の特色やニーズに応じた政策を推進していくため、政策法務が重要視されていることから、総務部総務課に政策法務室を設置し、法制執務に係る体制の整備を図ります。
契約の透明性や公平性の向上を図るため、一般競争入札のほか、指名競争入札の一部にも対象を拡大し、電子入札を実施します。
市税などの徴収率の低下や滞納の増加が懸念されることから、市税などの公平な負担を保つとともに、滞納額の縮減を図るため、経営企画部収税課に徴収対策室を設置し、徴収が困難な高額及び長期の滞納者への対応を強化します。
収納事務の効率化を図るため、新たに市税収納員制度を導入します。
また、市民の納税機会を拡大するため、一部の市税などについてコンビニエンスストアでの収納を開始します。
市民の行政への参加意識の高揚を図るため、子どもたちが健やかに生まれ育つ環境づくりを対象に、市民参加型ミニ市場公募債の発行を目指します。また、市内に温泉施設を併設したホテルが開業することから、入湯税を新設します。
市役所庁舎につきましては、経営企画部企画政策課に庁舎建設準備室を設置し、市民参加を図りながら、新庁舎の整備に向けて取り組みます。
また、市では、これまで人口の増加や様々な市民ニーズにこたえるため、多数の公共施設を整備してきましたが、今後、大規模な改修工事がほぼ同時期に集中し、財政運営上、大きな課題となることが予測されることから、施設の適切な維持管理や財政負担の平準化を図るため、公共施設の長期的な保全計画を策定します。
三番瀬につきましては、県が、三番瀬の再生計画づくりに向け、知事の諮問機関として三番瀬再生会議を設置し、本市もオブザーバーとして参加していることから、今後、会議での議論を注視しつつ、近隣市と連携しながら対応を図ります。
また、平成17年度は、第2 次実施計画の計画期間の2 年度目にあたることから見直しを行い、平成18年度を初年度とする第3 次実施計画を策定します。

むすび

ここに、市政運営についての私の所信の一端と、新年度における主要施策の概要を申し上げました。
私は、諸施策、諸事業の推進にあたり、職員に一層の自覚と 研鑚 けんさん 、そして意識改革を求めながら、私自身がその先頭に立ち、市民の皆様と一緒になって力強く市政を推進していきたいと考えています。
なにとぞ、議員の皆様並びに市民の皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。


平成17年2月18日

浦安市長 松崎秀樹



用語解説

1 NPM( New Public Management)
民間企業の経営理念や改革手法を可能な限り公的部門( 行政) に、適用することで、行政経営の効率化や生産性、有効性を高めようとする試み全体の総称。
成果主義や業績主義、意思決定とサービス提供の分離、現場への経営資源の分権、民間委託やPFI などの活用、市民を顧客ととらえる顧客主義への転換、組織・機構の簡素化などの点が特徴的である。

ガバナンス( Governance)
自立した地域社会を築き上げていくため、市民やN P O 、事業者と行政がネットワークを形成し、パートナーシップのもとで地域を治めること。「協治」とも訳されている。

PPP( Public Private Partnership)
公共サービス分野での官民パートナーシップによる公共サービスの民間開放を推進する政策手法

PFI(Private Finance Initiative)
地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供を目指すため、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法

指定管理者制度
平成15 年6 月の地方自治法の改正により、公の施設の管理を委託する場合の方式が管理委託制度から指定管理者制度に移行した。これまでは委託先が公共団体や市の出資法人等に限定されていたが、指定管理者制度では、民間企業などの個人を除く幅広い団体が議会の議決を得て管理できるようになった。

市場化テスト( 官民競争入札制度)
これまで国等が提供してきた、あるいは今後提供する予定の公共サービスについて、透明・中立・公正な競争条件のもと、官と民との間で競争入札を実施し、その提供主体や手法を決めていく新たな制度で、現在、内閣府規制改革・民間開放推進会議を中心に平成17 年度の試行的導入、18 年度の全面導入に向けた作業を進めている。

セクター( Sector)
活動分野、領域、部門、区域

スマート・ガバメント( Smart Government)
市民と情報の共有化を図り、市民が行政に参加できるような「協働」のシステムとあわせて顧客志向やコスト意識などの民間企業の経営感覚を持って市民の求めるサービスを効率的かつ機能的、機動的に提供していく行政運営の考え方

CIO( Chief Information Officer)
「最高情報責任者」「情報戦略統括役員」などと訳される。企業や団体の経営戦略としての情報化戦略を立案・実行し、情報システムの設計や展開、運用などに責任を負う。
電子自治体の推進にあたり、国の機関や地方公共団体などにも設置されつつある。