季節の食卓

みなさん、こんにちは。フードビジネスコーディネーターの加賀谷恭子です。

仕事がら、いろんな食材を扱って調理をしています。食材は、季節ごとにおいしいものがあって、それは普段忘れかけている昔ながらのものもあれば、新しく生まれたものまで、本当に様々。折角ですから、これから私が出会ったいろんな食材を少しずつ取り上げて、食材のことから考えて作る“季節の食卓”をテーマに、コラムを毎月更新していこうと思っています。 
中でも、私はお野菜を中心とした極々シンプルな調理のごはんを得意としております。だって、農家のみなさんが手間隙かけて作った、自然のチカラが溢れんばかりのお野菜に触れると、余計なことはしちゃいけないなって思うんですよ。お野菜とじっくりお話して、一緒に調理法を決めたりしています。

複雑な調理や、派手なディスプレイはしません。普段、おうちで出来て、いつもよりちょっぴりステキ…という食卓を提案していきます。食べ物を見たり、触ったり、おうちでのごはんが楽しい!って思っていただけたらうれしいです。気が向いた時に、ふらりと見に来てくださいね!


第9回 「いも、くり、かぼちゃ!!なんて幸せなのかしら・・・という食卓の巻」

ぽくぽくの秋です。愛嬌があって可愛らしく、それでいて香り高い、魅力ある女性的なお野菜たちがどんどん成熟していく10月。そういえば、この時期になると浦安には石焼きいも屋さんがやってきますね。♪い〜しや〜きいも〜。や〜きいも♪という声に、たまらなくなって「すみません。ちょっと焼きいも買ってきます。」なんて言って、お店の営業中に外に買いに行ってしまったこともありましたっけ・・・(反省)。ちゃんとお客様に「買って来ました。」ってプレゼントしましたけれど。
今回は、個人的にスペシャル企画!大好きないも、くり、かぼちゃの食卓です。わぁ〜い♪

それでは早速、なんて幸せなのかしら・・・という食卓です。


秋の食卓というと、季節感のある和風なイメージですが、今回は秋の食材を使って洋風な食卓を作ってみました。

さつまいもの肌色とえんじ、栗の栗色、かぼちゃの橙を、シンプルな洋食器にワンプレートで盛り合わせ、ぽってりした和食器の優しい白にデザートを盛って。木の枝のマットの上に、紅葉の紅のクロスを敷いて、見た目にも暖かみのある10月の食卓です。

それでは、お料理の説明です。

かぼちゃにんにくサラダ

素揚げにして甘味の増したかぼちゃ+にんにく+ヴィネガーの酸味で、バランス良く食べやすいサラダ。「かぼちゃは甘くておかずにはならん!」という父にも食べさせたいサラダです。

  1. かぼちゃ1/4個は皮付きのまま一口大に切り、170度くらいの油で素揚げにします。浮いてきたら引き上げて、油を切っておきます。
  2. にんにく1/2片は、皮を剥いて芯を取り除き、包丁でたたき潰します。
  1. フライパンに白ワインヴィネガー50cc、てんさい糖20g、オリーブオイル30cc、潰したにんにくを入れて弱火にかけます。
  1. てんさい糖が溶けて、にんにくの香りがしてきたら1)のかぼちゃを和えます。
  2. 容器に移して、粗熱を取り、冷蔵庫で冷やします。
  3. 器に盛り、水に浸してシャキっとさせたクレソンをのせます。

 

さつまいものスープ

皮付きのままスープに。タピオカの食感がたまりません。

  1. さつまいも(1/4本くらい)をよく洗って、皮付きのまま1cm角に切り、水にさらしておきます。
  2. かつお出汁(2cup)を作ります。
    かつお出汁の取り方は、9月号をご覧ください。昆布なしで、お水を沸騰させるところからです。
  1. 鍋にバター(8g)を溶かし、水気を切ったさつまいもを炒めます。
  2. かつお出汁(1cup)入れ、さつまいもが柔らかくなるまで煮ます。

 

  1. 一旦火を止めて、バーミックスで、なめらかにします。
    バーミックスがない場合は、一旦鍋から取り出してミキサーにかけて、滑らかになったら鍋に戻します。

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  2. タピオカ(大さじ1くらい)を入れて火にかけ、透明になるまで、弱火でコトコト煮ます。煮ている間に汁気がなくなってきたら、かつお出汁を足していき、焦げ付かないように時々かき混ぜながら煮ましょう。
  3. 塩こしょうで味を調えて出来上がり!

 

くりくりーむ

栗は渋皮付きのまま。余計なものを入れずに、シンプルに栗の香りを楽しみます。

  1. 栗は、熱湯に30分くらいつけて皮を柔らかくし、渋皮を残して包丁で鬼皮だけを剥きます。出来る限り固い筋も取り除いておきます。
  2. 栗を鍋に入れ、かぶるくらいの水と重曹(大さじ1)を入れて、火にかけます。
  3. 沸騰して10分。茶色くなった湯を一旦こぼして新しい水と重曹(大さじ1)を入れ、また火にかけます。これを2〜3回くりかえします。渋皮が柔らかくなってきたら、重曹は入れずに水だけでOKです。
  4. 栗に串を刺してみて、柔らかくなったら、ミキサーが回るくらいの牛乳を入れて、ペーストにします。
  5. お好みの甘さになるように、味をみながらはちみつを入れて混ぜます。

 

バケット

アトリエ ド リーブのもの。香りも良く、噛めば噛むほど味があって、大好きです。

 
  1. 食べたい大きさでスティック状に切って、トースターで軽く焦げ目がつくまで焼きます。
  2. エクストラバージンオリーブオイルを塗り、乾燥バジルを振ります。

 

アルムワーズ(よもぎと黒ごまパン)

これもアトリエ ド リーブのもの。

 
  1. 軽く焼いて、よもぎの香りを楽しみます。

 

りんごのキャラメリゼ

りんごのおいしい時期ですね。温かいりんごとバニラアイスって、なんでこんなにおいしいんでしょうねー!しあわせいっぱい♪

 
  1. りんご(1/4個)は、芯を取り除き、縦に1/3、横に半分に切り、水につけて変色を防いでおきます。
  2. フライパンにバター(5g)を溶かし、きび糖(10g)を入れて火にかけ、半分くらい溶けたところで、りんごを入れて、溶けたきび糖をからめるように焼きつけます。
  3. 熱いうちに皿に盛り、バニラアイスを添えます。
  • お砂糖でコーティングするので、酸味が強めの、紅玉を使うとおいしい!撮影時、紅玉の収穫が少なくて手に入らなかったので、「サンつがる」を使いました。
  • お好みで、バニラアイスにシナモンを振っても!シナモンは、セイロンシナモンが◎。カシアシナモンより、優しい香りでお菓子向きです。

 

フレッシュミントティー

まったりな食感の、いも、くり、かぼちゃも、ミントティーですっきり!

 
  1. フレッシュ(乾燥させていない)のペパーミントを、手のひらでぱぁーん!と叩いて香りを出します。

  2. レモングラスと一緒にティーポットに入れ、熱湯を注ぎます。

 



それでは、秋だなぁ・・・という食卓の今回の主役。

 
さつまいも

甘藷(かんしょ)とも言われ、主に関東から南で栽培されています。鹿児島では、唐からやってきたので「唐(から)いも」と呼ばれ、その他の地域では薩摩からやってきたので「薩摩いも」と呼ばれているのだそうです。数え切れないほどの種類があり、色の美しさ、糖度、でんぷんの含有量や大きさなど、それぞれに特徴があります。主なものをいくつかご紹介。

「紅あずま」

千葉県の名産で、関東では一番人気の品種です。8月頃から新いもとして出荷しているところもありますが、甘味がのってくるのは10月頃から。甘みが強くホクホクしているので、やきいも屋さんがよく使っています。無農薬無化学肥料栽培のものもありますので、良いものを選んで、皮も一緒に食べたいですね。

「金時」

川越の特産。生では白っぽい身が加熱すると華やかな黄色に。きんとんなど和菓子にむいています。

「安納(あんのん)いも」

数年前から注目されている種子島の在来種。糖度が高く、蒸かすだけでスイートポテトのよう・・・と言われていますが、保存性が悪く、カタチが不揃いになりやすい(市場に出荷出来ない)ため、農家が自家用に栽培していましたが、産直で出回り始めました。ロコディッシュでも時期になると安納いもをお出ししていますが、お客様もその甘さにびっくりされます。今年は、その中でも「安納みつき」という品種をお出しする予定です。

「紫いも」

主に鹿児島・沖縄で栽培されています。美しい紫色の身が特徴で、菓子に使われています。色の方が重要視されていて、実は糖度は低いので、菓子にする時は当然砂糖で甘味を補っているのですが、今年、糖度が高く焼き芋や蒸かし芋に適する「こがね紫」がロコディッシュにやってくることになりました。そこまで糖度が高い紫芋は、私も初めてなので、今から楽しみです!

「黄金千貫(こがねせんがん)」

これを忘れてはいけません。芋焼酎の原料です。南の方で栽培されているので、関東では生の芋をあまり見かけませんが、焼酎にしなくても、蒸かしたり、焼いたりで、とってもおいしいみたいですよ。私もまだ食べたことないのですが・・・
   
 

選び方

ひげ根が少なく、傷のないものを選びましょう。収穫してすぐのものよりも、2〜3ヶ月保存したものの方が甘味があります。

栄養

ビタミンC、E、カリウム、食物繊維が多く含まれています。
カリウムは、腎臓から余分なナトリウムを排出し、血圧低下に効果的に働きます。
食物繊維は、便秘予防効果があり、腸内のコレステロールを吸着して体外に排出してくれるので結果的に血液中のコレステロール値の低下につながります。
また、紫芋に含まれるアントシアニンは、話題のポリフェノールと同じで、肝機能を向上させる働きがあります。

保存方法

さつまいもは、暖かい南の地域で育っています。低温に弱いので、冷蔵庫に入れるといたみが早くなります。風通しの良い冷暗所(15℃くらい)で新聞紙に包んで保存しましょう。

基本調理

さつまいもは、低温でじっくり加熱すると甘みが増します。電子レンジは急激に温度が上昇してしまうので、じっくり焼いたり、蒸したりと、低温で時間をかけた方がおいしくなります。

 

さつまいもレシピ

ばんこ焼 黒釉 焼きいも屋(石付き)/10%OFF●国産陶器の焼き芋器です!0929祭10

おうちで石焼きいも風

石焼いも器があると完璧です。使わなくなった鍋や、キャンプでよく使う空焼きしても大丈夫なダッチオーブンに石を敷いて芋をのせ、フタをして焼いてもおいしく作れますが、石がはぜることがあるので気をつけましょう。割れてしまった陶器を砕いて洗い、それを石の代わりに鍋に敷き詰めて焼くと、石よりも遠赤外線の効果でおいしくなるという報告もあります。(まだ陶器で試したことはありませんが・・・)

で、今日は石焼きいも風に作れるカンタンな方法をひとつご紹介。以前、TVで紹介されていたものです。

  1. 炊飯器にさつまいも(2本程度)を入れ、4%塩水をさつまいもがかぶるくらいに注ぎます。
  2. 炊飯のボタンを押します。
  3. 炊き上がったら、オーブンで皮がパリッとするくらいに焼いて、出来上がり!

 

 

スイートポテト

王道ですね。おいしい芋をじっくり加熱して甘味を引き出すことさえしっかりやれば、後はカンタン!

  1. 焼き芋(中くらいのサイズ2本分)の皮をとって、中身を使います。(または蒸し器でじっくり蒸すか、上記方法で炊飯器で炊きます)。
  2. 鍋に入れて、ざっくりつぶします。滑らかさを出したい場合は裏ごししますが、粒々が残っているのもまたおいしいです。
  3. 火にかけて、バターとはちみつ(各大さじ3)を入れて焦げ付かないように混ぜながら溶かします
  4. 火からおろして卵黄(1個分)を混ぜ、もう一度火にかけて鍋底から離れるくらいまで水分を飛ばします
  5. クッキングペーパーの上に剥がした焼き芋の皮を一口大にちぎって置き、その上に一口分ずつスプーンで落とし、トースターかオーブンで3〜5分焦げ目がつくまで焼きます。(表面にツヤを出したい場合は、卵黄を塗ります。カタチを整えたい場合は、アルミカップに入れて、絞り袋でキレイに絞って焼いても良いですね)

 

来月も、おいしいもの見つけてご紹介しますね。お楽しみに!