季節の食卓

みなさん、こんにちは。フードビジネスコーディネーターの加賀谷恭子です。

仕事がら、いろんな食材を扱って調理をしています。食材は、季節ごとにおいしいものがあって、それは普段忘れかけている昔ながらのものもあれば、新しく生まれたものまで、本当に様々。折角ですから、これから私が出会ったいろんな食材を少しずつ取り上げて、食材のことから考えて作る“季節の食卓”をテーマに、コラムを毎月更新していこうと思っています。 
中でも、私はお野菜を中心とした極々シンプルな調理のごはんを得意としております。だって、農家のみなさんが手間隙かけて作った、自然のチカラが溢れんばかりのお野菜に触れると、余計なことはしちゃいけないなって思うんですよ。お野菜とじっくりお話して、一緒に調理法を決めたりしています。

複雑な調理や、派手なディスプレイはしません。普段、おうちで出来て、いつもよりちょっぴりステキ…という食卓を提案していきます。食べ物を見たり、触ったり、おうちでのごはんが楽しい!って思っていただけたらうれしいです。気が向いた時に、ふらりと見に来てくださいね!


第19回 「夏野菜は生で食べるのだ!の巻」


♪夏祭り 宵かがり 胸の高鳴りに合わせて 八月は 夢花火 私の心は夏もよう♪

(作詞・井上陽水さん)

今年の夏は・・・って、毎年毎年、特別な夏の想い出がありました。なのに、いつの頃からだろう?「一生忘れない!」って、ココロにしっかり刻み込むような出来事が・・・ない!去年、確かに楽しかったけれど、何か特別な想い出があったかと言われると・・・ない!

くやしい。今年は「2007年の夏はすごかった!」ということにしたい。どうすごくても、ココロに刻み込むことがある夏にしたい。

で、幼い頃の夏、何がココロに刻み込まれているかというと、秋田のじいちゃんの家の庭で野菜をとって、井戸水で冷やし、そのまま食卓に並べてみんなで食べた想い出。楽しすぎました。

今月は、そんな食卓を思い出しながら作ってみました。夏のお野菜は、生で食べると身体の熱を心地よく下げてくれます。せっかく色もキレイだし、全部生でいただきます!

それでは早速、夏野菜を生で食べる食卓です。

赤・黄・緑・紫。夏のお野菜は、太陽をたっぷり浴びて、色も栄養もパワー全開です。太陽を浴びて、土からたくさん栄養をもらって実をつけた、畑にいた時に近いカタチで食卓に。器は土色に近い素材のものを使いました。土で育ったお野菜たちは、土で出来た器と相性がいいに決まっているのです。太陽の光を映すガラスの器もひとつ置いて。一品ずつ豪快に盛ってみんなで取り分ける、田舎のおばあちゃん盛り。みんなで食べた想い出が、食卓全体の映像と一緒にココロに刻み込まれるように。

それでは、お料理の説明です。

トマトのマリネ

トマトは切り方によって、口に入れた時のジューシー感が変わります。縦に切れば実についたままの種やジュースがはじけるおいしさ。横に切れば、ジュースの部分が実から離れて全体がしっとり。これは、横に切って汁気を出し、その汁気をドレッシングにして和える、しっとりジューシーなトマトを味わえます。

  1. トマトを洗って、櫛形に切ります。
  2. ヘタの部分と、下部の黒い固い部分があればとり、さらに3分割にします。
  1. トマトと、トマトの実から離れて出た種や汁も一緒にボウルに入れます
  2. 穂じそは、枝をしごいて実をはずしボウルに加えます
  3. 塩とグレープシードオイルを少しずつ入れて軽く混ぜ合わせます。

  1. 冷蔵庫で冷やしながら少しなじませます
  2. 器に盛りつける前に、ボウルを回してトマトから出た水気とオイルを乳化(白っぽく)させ、トマトとからめるように軽く混ぜ合わせてから盛りつけます


勝山農園のチェリートマト

岩手県花巻市の勝山夫妻が作っているチェリートマトは、千果(ちか)という品種。千果は、糖度が高く、同量のトマトよりもリコピンが3倍以上も含まれている、見た目もツヤツヤで可愛らしく、味も、栄養的にも素晴らしい優れもの。

ロコディッシュでもお出ししていましたが、一口食べて「うわぁー!」というお客様の歓声を何度聞いたことか・・・こんな愛情あふれるステキなトマトは、何もつけずにいただきます。

かわいらしいご夫婦のトマトは、可愛らしくグラスに盛りつけ♪

 

きゅうりの塩もみ

きゅうりの千切りって、家庭料理技能検定の実技問題だったなぁ。全部同じ長さ、同じ幅で、制限時間内に1本切る。あ、これは気にしなくて大丈夫ですよ。塩もみするので、くしゅくしゅっとなりますから。 千切りにしてから塩もみしてエグミを取るので、最初に板ずりする必要はありません。

  1. きゅうりは洗ってから、斜め切りします
  2. 少しずつずらして、千切りにします
  1. みょうがを短めの千切りにします。
  1. きゅうりの本数分×小さじ1杯の塩を入れて和えます
  1. しんなりしてきたら、水を入れてひとまぜして、軽く絞ります
  2. 白胡麻をふり、生姜をおろして上にのせます。

きゅうりポリポリ3種だれ

きゅうりって、生でポリポリ食べていると、止まらないですよね。あの食感。淡泊なみずみずしさ。たれを3種添えて、飽きずにポリポリいきましょう。

  1. きゅうりは、さっと水で洗い、ピーラーで何本か線を入れてシマシマにします。
    ちょっと難しいけれど、螺旋状にシマシマにするのもかわいいので2種類作ってみました

  2. 塩を全体に塗りつけます。塩が溶けて水っぽくなってきたら洗い流します
  • きゅうりの皮(特に両端)は、エグミがありますが、それがまたきゅうりらしい味でもあります。板ずりと言って、塩をまぶしてまな板でゴロゴロする方法もありますが、淡泊になりすぎてしまうので、私は皮を少し剥いて、全体のエグミをさっと取るだけにするというのが好きです。酒の肴には、皮を剥かないのも◎です。

  1. きゅうりを好きな大きさに切り、氷水に漬けます。この切り方は、縦に2つに切ってから、斜めに切りました

  2. 氷水から引き上げて、ペーパータオルで水気を切り、盛りつけます

【梅肉だれ】

  1. 梅干の種を取り、実を包丁で細かく叩きます
  2. みりんを火にかけて、アルコールを飛ばします
  3. 好きな甘さになるまで、みりんを加えながら練ります
*はちみつを加えても美味しいですよー

【海苔佃煮だれ】

海苔の佃煮も合うんですよ。これは、あさりの入ったのり佃煮

【落花生みそ】

  1. 落花生をミキサーで砕くか、包丁でみじん切りします
  2. 鍋に赤味噌とみりんを入れ、火にかけながら混ぜていきます。はちみつを少しずつ足して、好みの味に調えます
  3. ツヤが出てきたら、砕いた落花生を入れ全体を混ぜ合わせます

冬瓜(とうがん)

冬瓜は、煮て食べるのが一般的ですが、生でサラダも。シャリシャリした食感は、冬瓜ならでは。


このくらいの厚さで剥きます


皮を薄く剥くと、この固い緑のスジが残ってしまいます。
  1. 冬瓜は、1/4に割ってから皮を厚めに剥きます。
    緑色のスジがなくなるところまで剥きます。

 



  1. 包丁を入れて種の部分を切り取り、白い実を薄切りにしていきます。

 

  • 透明で透けるくらいの薄さが理想的。包丁で薄切りが苦手な方は、少し無駄が出ますが、ピーラーで削っても良いですね

  1. 冷水にさらして、水気を切ります

  2. お好みのドレッシングで和えます。

 

  • 私は、白胡麻をすって、白だしとマヨネーズを入れた胡麻マヨネーズで和えました。

 


とうもろこし

最近のとうもろこしは、糖度が高く、生で食べても美味しいものが多いですね。特に千葉で作られている、味来(みらい)や、ゴールドラッシュはとっても甘い!その中でも「朝穫り」のものを選んでくださいね。生で食べる時は、消化があまり良くないので、少しずつよく噛んで、甘みを堪能しながら食べましょう。もし、生で食べてみて甘みが少なかったら、茹でてから作ってみてくださいね。

  1. とうもろこしは、皮を剥き、ひげを取って軽く水で洗い流します
  2. 生のまま、実を外していきます。
  • 二つに折って、折ったところからだと実をはずしやすいです
  • ここで生で食べてみて、甘みがすくなければ、沸騰した湯で軽く茹でます
  1. エクストラバージンオリーブオイル、塩、黒胡椒、醤油を少し入れて、味を調えながらざっくり和えます

なすの塩もみ
  1. なすは軽く水で洗って、ヘタを取り、縦半分に割って薄く半月切りに。変色しないように、切った側から水に漬けていきます
  1. 一旦水を切って、なす1本につき小さじ1杯くらいの塩を入れて全体をざっと混ぜ、放置します

  2. 水気が出てきたら、軽くもみます

  3. 水を入れて軽くかき回したら、水を捨てて、なすの水気を絞ります

  4. 器に盛りつけて、おろした生姜と白胡麻をふって出来上がり

  5. お好みで醤油をかけて。
  • そうそう、きゅうりの塩もみと同じ要領で!

 

それでは、夏野菜は生で食べるのだ!な食卓を盛り上げる今回の主役。

とうもろこし
千葉県は、美味しいとうもろこしを育てるのに適した土地だと言われています。しかも、鮮度が命!せっかく千葉に住んでいて、収穫後すぐに手に入りやすいので、夏の間にたくさんいただきましょう!

選び方

とうもろこしは、収穫してからどんどん味が落ちていき、特に皮を剥いた後は、そのスピードが早まります。皮付きのものを買いましょう。 また、朝の気温が低いうちに収穫したものは、鮮度が保たれやすいので、その後の配送や保管状況にもよりますが、「朝穫り」があれば、その方が鮮度が高く味が良い場合が多いです。

保存方法

とうもろこしは、収穫された後、自分の糖分をエネルギーに変えて生きていきます。

・・・ということは、どんどん糖分=甘みが減っていくということ。買って帰ってきたら、すぐ調理して食べるのが一番です。

そんなわけにいかない・・・という時は、先に蒸すか、茹でて、1本ずつラップに包んで冷蔵庫に入れておきます。

すぐに調理するのも難しい・・・という場合は、皮を数枚残して剥き、濡らしたペーパータオルで1本ずつ包んで、さらにラップをかけて、ビニール袋に入れて、冷蔵庫に立てて保管します。(この場合は、味が落ちることを覚悟して、その後の調理は炒め物やカレー、シチューなどの煮物の最後に入れて食感を楽しむものに使うと良いですよ。)

   
冬瓜(とうがん)

加賀谷家では、夏になると、豚バラと一緒にお吸い物になってかなり頻繁に登場していました。ロコディッシュのスタッフ、キリの実家では豚肉と一緒に煮物、宮城のにい奈の実家では赤身の魚と一緒に煮物が定番だったそうです。 淡泊な味なので、肉や魚と一緒に煮物・・・というのが一番多い食べ方ですね。 ロコディッシュでは、薄口の出汁で煮て、それを冷蔵庫で冷やしてお出ししています。つめたくてとろりんとした食感が人気の夏のレギュラーメニューです。

選び方

表面にしわがなくツルンとしていて、ずっしりとした重みがあるものを選びましょう。表面に均一に白い粉がついているのが完熟していて美味しい証拠。 カタチは、もともと丸形や楕円型などがあるので、あまり気にしなくて大丈夫です。

栄養

90%以上が水分の低カロリー食品です。

基本的な調理

皮の近くは固い緑のスジが通っているので、皮は厚めに剥きます・・・と、今回のレシピに書きましたが、そうしなければ食べられないわけではありません。 今回のように、生で食べる時や、とろりんとした食感に仕上げたい煮物の時には厚く剥いた方が良いですが、油通しして炒め物に使うなど、カタチが崩れにくい方が良い時は薄く剥くのも良いです。皮の近くには栄養分も多いので、調理内容に合わせて剥く皮の厚みを変えてみてくださいね。

保存方法

そういえば、どうして夏が旬なのに「冬瓜」なの?って思いませんでした?

収穫時期は夏〜秋だし、秋の季語なのですが、丸ごと冷暗所に置いておけば冬まで味を落とさずに保存出来るのでこの名前がついたのだそうです。

スーパーでは、カットされたものをよく見かけます。カットされているものは、ラップに包んで冷蔵庫で保管します。もちろん、冬までは持たないのでお早めに。

一度に透明になるまで茹でてしまって、タッパーにゆで汁ごと入れて冷蔵庫で保管しておけば、汁物や煮物の具として便利です。

   

今月も、夏野菜をもりもり食べましょうねー!

 今月も、夏野菜をもりもり食べましょうねー!  
8月12日(日)〜31日(金)ロコディッシュにて  「沖縄」がテーマのイラスト展『わんから』を開催いたします。  
期間中、沖縄料理もお楽しみいただけます。  ぜひ、遊びに来てくださいね♪