季節の食卓

みなさん、こんにちは。フードビジネスコーディネーターの加賀谷恭子です。

仕事がら、いろんな食材を扱って調理をしています。食材は、季節ごとにおいしいものがあって、それは普段忘れかけている昔ながらのものもあれば、新しく生まれたものまで、本当に様々。折角ですから、これから私が出会ったいろんな食材を少しずつ取り上げて、食材のことから考えて作る“季節の食卓”をテーマに、コラムを毎月更新していこうと思っています。 
中でも、私はお野菜を中心とした極々シンプルな調理のごはんを得意としております。だって、農家のみなさんが手間隙かけて作った、自然のチカラが溢れんばかりのお野菜に触れると、余計なことはしちゃいけないなって思うんですよ。お野菜とじっくりお話して、一緒に調理法を決めたりしています。

複雑な調理や、派手なディスプレイはしません。普段、おうちで出来て、いつもよりちょっぴりステキ…という食卓を提案していきます。食べ物を見たり、触ったり、おうちでのごはんが楽しい!って思っていただけたらうれしいです。気が向いた時に、ふらりと見に来てくださいね!


第7回 「夏バテって何かしら??ひんやり、つるん。な食卓の巻」

さてさて、長引いた梅雨も明け、いよいよ本格的な夏到来!今年の夏は暑さを覚悟しなくてはならないそうで。だからと言って、夏バテでぐったりしているなんてもったいない!「夏バテって何かしら?」と、涼やかな顔でさらりと言ってのけ、夏を満喫してしまいたいものですね。夏のスタミナ料理って、ちょっと重たい肉料理やスパイシーなものがよく紹介されますが、冷たくて喉越しの良いものの方が食べやすいことは確か。今回は、夏大好き!な私が、食べやすくて、暑い夏を乗り切るメニューをご紹介します。

それでは早速、夏バテ知らずな食卓です。


夏はそうめん・・・と言いたいところですが、なんせ私は平麺好き。具材やつゆがしっかり絡んだまま、つるんと入ってきて、もちもち〜な、きしめんは夏の定番です。
でも、麺だとどうしてもほんの少しのトッピングだけで1食が終わってしまいがち。これでは栄養も偏り、夏バテの原因に。そこで、作り置きしておけるものや、カンタンに作れるものを使って、5種の味を楽しみながら、栄養バランスも取ってしまおう!というわけです。

柳宗理 ステンレスプレート 32cm涼しさを出すのに、よくガラスの器が使われますが、こうして一見無機質なステンレスに盛り込むのもかっこよく仕上がります。このトレーは、柳宗理さんのステンレスプレート32cm。彼の作品は、曲線が気持ち良くて大好きです。頻繁に使うので、かなり傷になってしまっていますが・・・。同じく柳さんのカトラリーで食べます。このカトラリーの口当たりの良さ、たまりません。個性的な形なので、周りもシンプルに、主役のプレートを引き立てます。

それでは、お料理の説明です。

きしめん この後のきしめんコーナーで。
きゅうり

水で洗い、塩をまぶして手で軽くこすります。塩が溶けて、きゅうりからほんのり水気がでてきたら、塩を洗い流して、好きな大きさに切ります。他のお野菜と同じ大きさに切ると、盛った時見た目もキレイ。今回は、全部一口大にしました。

なすの揚げ浸し

油を180度に温めておきます。なすを洗って一口大に切ったら、水気を取ってすぐに揚げます。30秒くらいで引き上げ、熱いうちにそばつゆに漬け込みます。 そのまま、冷蔵庫で冷やしてもおいしい。 上におろし生姜をのせても。

トマト

一口大に切ります。皮を湯むきして口当りをよくするのも良いですが、やっぱり皮の食感に夏を感じてしまうので、私はそのまま。ヘタと、その反対側の小さな黒いところだけ取り除きます。

つるむらさき

茹でると少し粘り気がでる、夏の青菜。塩を入れた熱湯でさっとゆがいて、冷水に取り、水気を絞ってから、好みの長さに切り、そばつゆを少しふりかけて水っぽさを消します。ビタミン・カルシウムが豊富なので、旬の夏にはたくさん食べたいお野菜です。

ごまだれ

市販のごまだれもおいしいですが、これも好みで味を決めたいものです。生野菜にも合うので、作って冷蔵庫にストックしておくと便利。

《作り方》

  1. 白ごまを煎って、ミキサーかすり鉢ですります。(せっかく作るなら、すり胡麻を買うより、作る時にすった方が香りが断然違います。)
  2. 味をみながらそばつゆとみりんを混ぜていきます。
    *マヨネーズを少し混ぜてもおいしいですよ。
炸醤麺(ジャージャー麺)

《材料》 
白ねぎ1/2本、生姜1/2片、 干ししいたけ1枚、豚ひき肉30g、A【料理酒少々、甜麺醤大さじ1/2、醤油大さじ1/2、干ししいたけの戻し汁大さじ1】 胡麻油少々、豆板醤小さじ1/2

  1. 干ししいたけを、ぬるま湯に浸して柔らかく戻します。(戻し汁は、捨てないで)
  2. 白ねぎ、生姜、干ししいたけをみじん切りにします。
  3. フライパンに油をひいて、1と豆板醤を炒めます。
  4. 生姜の香りがたってきたら、豚ひき肉をいれて、肉の色が変わるまで炒めます。
  5. Aを混ぜ合わせて入れ、煮立ったら弱火にして油が分離するまで煮詰めます。
  6. 最後に胡麻油をまわしかけて出来上がり!
  • やっぱり野菜が好きなので、つい長ネギがメインになってしまいましたが、豚肉をもっと多くしてもOKです。
  • 豆板醤の量はお好みで
  • 冷たい麺に、熱々をかけて温度差を楽しんでくださいね。
梅肉だれ
梅ペーストを買ってきても良いですが、やっぱりお気に入りの梅干で、好みの甘さにしたいです。
梅干の種を抜き、梅肉を包丁でたたいて細かくします。みりんを少しずつ混ぜて、好みの甘さにします。
*梅干と一緒に入っている赤しそや、白味噌を少し混ぜてもおいしい!
そばつゆ

そばつゆに、みょうが、ねぎ、しそを刻んでいれます。
カンタンだから、そばつゆも作っちゃいましょう!これも、冷蔵庫にストックしておくと、冷奴のつけ汁に、出汁で薄めて煮物にと、とっても便利です。

《材料》

  • 湿らせた布巾で軽く汚れをふき取った昆布
  • かつお節ひとつかみ
  • 干ししいたけ(軸ごと)5個くらい
  • 薄口醤油と濃口醤油を各200ccずつ
  • みりん150cc
  • 水300cc

《作り方》

  1. 材料を全部鍋に入れて火にかけ、沸騰したら15分間弱火でふつふつ煮る。
  2. 火を止めて放置。
  3. 冷めたら、ざるで濾して、冷蔵庫で保管します。

*濾した後のかつお節、昆布、しいたけは、水気を絞ってふりかけに!季節の食卓第1回の「かつおと煮干の佃煮」参照

オクラ納豆

オクラがおいしい季節です。

《作り方》

  1. オクラは塩を軽くこすりつけて、沸騰した湯でさっと茹でます。
  2. 湯を切ってそのまま冷まし、細かく刻みます。
  3. ひきわり納豆とオクラ、醤油(納豆についているタレでも可)と、鰹節を混ぜ、全部合わせて包丁でたたいてなじませます。

*削り節粉や糸削りなど、細かい鰹節を混ぜるとさらにおいしい!





それでは、ひんやり。つるん。な食卓の今回の主役。

 
きしめん
 
きしめん16人前ダンボール入

きしめんは、名古屋を代表する麺で、うどんを平打ちにしたもの。遠い昔は、尾張の徳川家しか食べられなかったものだとか。その頃は、雉が入っていたそうですが・・・雉の代わりに安価な油揚げを入れ、一般庶民の味になっていったようです。今ではスーパーでも気軽に買える、全国区の食べ物です。
ちなみに、JAS(日本農林規格)では、麺の太さの直径が1.3mm未満を「そうめん」、1.3mm以上〜1.7mm未満を「冷麦」、1.7mm以上を「うどん」と定めていて、きしめんは「うどん」の種類に入ります。

◆選び方◆
生麺、半生麺、ゆで麺、冷凍麺、乾麺など、様々な状態で売られていますね。それぞれの製造技術が発達して、どれを買ってもおいしくいただけるようになりました。
乾麺は、乾燥する際になめらかさが増すので、そうめんなどには適してしますが、もちもち感が損なわれるため、きしめんを含むうどん類には、あまり向いていないと言われています。でも、やはり保存性の高さは魅力的。ストックしておくと、便利ですものね。

◆栄養◆
70%が炭水化物。ビタミン類は期待できないので、なるべく多くの種類のつけ合わせを心がけましょう。

きしめんレシピ

◆名古屋名物 味噌煮込み◆
暑い夏に、熱い鍋ものも良いですねー。

  1. 鍋に湯を沸かし、沸騰したら花かつおを入れます。(1L当たり30gくらいの分量で)
  2. 浮いたアクを取りながら、30秒ほど煮立てて火を止めます。
  3. かつお節が沈んだら、ざるにペーパータオルを敷いたもので濾し、最後は箸で軽く絞ります。
  4. 土鍋に取った出汁を入れて、赤味噌と八丁味噌を同量ずつ好みの濃さに溶かします。
  5. 別鍋にたっぷりの湯を沸かし、生きしめんを入れてほぐしながら2〜3分茹でます。
  6. 4に鶏肉、戻した干ししいたけを入れて沸騰させます。
  7. 5のきしめんの湯切って土鍋に入れ、油揚げ、ねぎ、生卵など、好みの具を入れて、蓋をして沸騰したら出来上がり!

 

来月も、おいしい食材見つけてご紹介しますね!お楽しみにー。