季節の食卓

みなさん、こんにちは。フードビジネスコーディネーターの加賀谷恭子です。

仕事がら、いろんな食材を扱って調理をしています。食材は、季節ごとにおいしいものがあって、それは普段忘れかけている昔ながらのものもあれば、新しく生まれたものまで、本当に様々。折角ですから、これから私が出会ったいろんな食材を少しずつ取り上げて、食材のことから考えて作る“季節の食卓”をテーマに、コラムを毎月更新していこうと思っています。 
中でも、私はお野菜を中心とした極々シンプルな調理のごはんを得意としております。だって、農家のみなさんが手間隙かけて作った、自然のチカラが溢れんばかりのお野菜に触れると、余計なことはしちゃいけないなって思うんですよ。お野菜とじっくりお話して、一緒に調理法を決めたりしています。

複雑な調理や、派手なディスプレイはしません。普段、おうちで出来て、いつもよりちょっぴりステキ…という食卓を提案していきます。食べ物を見たり、触ったり、おうちでのごはんが楽しい!って思っていただけたらうれしいです。気が向いた時に、ふらりと見に来てくださいね!


第4回 「5月病かなぁ・・・
         じゃ、一点豪華主義で、だらだらしよう。な食卓の巻」

「あー。なんだかやたらだるいし、やる気が起きない。これって、いわゆる5月病ってやつかなぁ・・・」
毎年、この時期になると、そんな話をよく聞きます。5月病は、ココロの病気。無理にやる気をおこそうとがんばったりせずに、のんびり自分を取り戻していくのが一番なのだそうですよ。
で、今月は、あんまりがんばらなくても良い、のんびり調理、のんびり食事、一点豪華主義な食卓を作ってみました。のんびりしてみると、普段見えていないものが見えてきたり、新たな発見があったりするものです。私みたいに、いつもいつものんびりしてるのは、ちょっとどうかと思いますけれど・・・

それでは早速、だらだらな食卓です


たけのこ、どーん!

切り分けてキレイに盛り付けるの、やめました。だって、だらだらしていたら、いつから食べ始めるかわからないし、たけのこにナイフを入れた時の、旨味の汁がジュワーっとなるところを目の当たりにしたら、食欲も沸いてくるのではないかと思ったんです。家族への労わりの気持ちが入ってこそ、家庭料理。食事をする時、視覚から受けている影響は、70%以上とも言われているんです。「わ!おいしそう!」と思える演出を食卓に持ち込んでみましょう。
で、今回は主な器を、リニューアルオープンした新浦安アトレ内の3COINSの雑貨で構成してみました。300円の器だって、この通り。黒×白で全体をまとめておき、食材の自然な茶の色を引き立てました。

じゃ、だらだらワインでも飲みながら・・・かんぱーい。


ま、どっちも私の手ですけどね・・・

・・・その前に、お料理の説明です。

●焼きたけのこ・・・

鮮度によって調理法を変えましょう。この後のたけのこコーナーで。

●木の芽みそ・・・ 白味噌30g、みりん15gを火にかけながら練ります。ツヤが出てきたら、火を止めて、すり鉢ですった木の芽のペーストを混ぜます。木の芽の量はお好みで。今回は、1パック(スーパーでは、だいたい5枚くらい)を使いました。
一般的には、色付けのために、ほうれん草もペーストにして加えるのですが、純粋な木の芽の香りだけで充分おいしい!
●木の芽しょうゆ・・・

出汁、みりん、醤油を合わせて、木の芽を細かく刻んで入れます。
・・・というか、冷蔵庫にあるそばつゆ使っちゃいましょうか。そばつゆに刻んだ木の芽を入れて出来上がり!

●おいしいお塩・・・ 塩だけでたけのこを食べるのもおいしいものです。スーパーでも、海水塩や、岩塩など、いろんな種類の塩が売られています。少し値段が高くなりますが、これだけでおいしくなるのですから、ぜひお気に入りを見つけてくださいね。
●春野菜のローズマリー焼き・・・ たけのこだけでは、さみしいので、簡単お野菜メニューをもうひとつ。
鉄のフライパンにオリーブオイルを入れ、包丁でたたいてつぶしたにんにくを入れ、火にかけて弱火でじっくり温めます。にんにくの香りがしてきたら、洗った新じゃがいもを皮付きで、新たまねぎはざく切りにして入れ、塩こしょうとローズマリーを入れてオイルが全体にまわって、じゃがいもの周りが透明になるくらいに炒めます。
そのまま、オーブンへ。220度くらいで、30分。じゃがいもに竹串がすっと通ったら出来上がり。そのままテーブルへ。
●竹皮包み焼きごはん・・・ これもたけのこコーナーで。




それでは、だらだらな食卓の今回の主役。

 
たけのこ
 
 

筍(たけのこ)

今回の筍は、一般にスーパーなどでよく見かけるもので、「孟宗竹(モウソウチク)」という種類。関東では、今年も5月中旬ころまでおいしいものが手に入ると思います。
孟宗竹より少しスマートなカタチで、孟宗竹が終わった頃から出始める「淡竹(ハチク)」。
実は孟宗竹よりおいしいとも言われる、九州に多い細身の「寒山竹(カンザンチク)」。
日本海側で採れて、山菜として瓶詰めになったりしている「根曲竹(ネマガリタケ)」。
お弁当を包む竹皮としてよく使われるのは「真竹(マダケ)」。
中国や台湾で栽培され、メンマにもなる「麻竹(マチク)」

筍と言ってもいろいろあるんですね。
静岡では、友だちの家の裏が竹林だったので毎年採りに行っていました。これは孟宗竹。
秋田のじいちゃんが毎年、缶詰にして送ってくれるのは、根曲竹。地元では「姫竹」と呼んでいます。秋田など寒い地域では孟宗竹が採れないので、姫竹と交換していました。

選び方

筍は鮮度が命。切り口がみずみずしく、皮につやがあるものを選びましょう。
それから、穂先が黄色くて、皮が薄茶色のものは、えぐみが少ないです。穂先が緑になっていたり、皮が濃い茶のものは、生育しすぎてえぐみが出ています。
孟宗竹は、形がずんぐりむっくりなものを。根元の粒々が小さくて少ないものがやわらかいです。
「朝掘り」であることも重要なポイント。朝掘ったものは、アクによる苦み・渋み・えぐみが一番少ないんです。
これは、なかなか難しいことですが、天才的な「たけのこハンター」っているんですよ。毎年手掘りしている人は、おいしい筍が生える場所を知っています。
千葉の天才たけのこハンターに、筍をお願いしちゃいました。5月上旬に届くんですよー。楽しみ♪

栄養

食物繊維が多く、便秘の予防・解消、コレステロールの排泄に効果がある食物繊維が多く含まれています。
細胞内液の浸透圧を一定に保つカリウムが多く、血圧を下げる効果があり、むくみ解消にも役立ちます。
疲れを解消するアミノ酸のひとつ、アスパラギン酸も多く含まれます。
その他、二日酔やのぼせをとる効果もあり、漢方では痰を和らげ、熱を抑えるといわれています。

保存方法

保存する場合は、必ず下茹で後に。密閉容器で水に浸して冷蔵庫に入れましょう。水は、毎日取り替えます。

 

では、筍レシピです
 

焼きたけのこ

  1. 筍を洗って泥を落とし、外側の硬い皮を1〜2枚剥がしてから、穂先を斜めに切って、皮に1本切り込みを入れて火が通りやすくします。

 

  1. 大きめの鍋に筍がかぶるくらいの水とぬか、赤唐辛子1本を入れ、火にかけて1時間くらい茹でます。(最近は、ぬかと赤唐辛子が筍にセットされて売ってますね。もし、ぬかが手に入らなかったら、米のとぎ汁でもOK)
  2. 根元に竹串を刺して、すっと通ったら下茹で完了!しばらくそのまま放置して、ぬるいくらいになったら、ぬかを水で洗い流します。
  3. 周りの皮を数枚はがし、そのままオーブンにどーん。220℃で20分くらい。軽く焦げ目がついたら出来上がり!(剥がした皮は捨てないで水に浸しておいてくださいね)。

 

 
  • もし、たけのこ狩りに行って、今朝掘ってきたのー!というステキな筍がある時は、1番と4番だけ。下茹でなしでOK。筍の皮が立派な調理道具に変身。身をしっかり蒸し上げてくれます。幸せを満喫してくださいねー!
  • 下茹では面倒だわ。下茹でしてあるものを買っちゃった。という方も、短時間で良いので、一度軽く茹でてください。おいしさが違います。
  • 茹で上がった後、しばらくそのまま放置することを忘れずに。そこでさらにえぐみが抜けます
 

竹皮包み焼きごはん

  1. 剥がして水に浸しておいた筍の皮の水気を切り、端を縦に細長く切って紐を作ります。
  2. 真ん中に木の芽みそを塗り、その上にごはんを乗せます。

 

  1. ごはんに木の芽しょうゆを少しふりかけます。

 

  1. ぱーんと手で叩いて香りを出した木の芽をごはんの上に乗せます。
  1. 包んで紐でしばります。
  2. 焼きたけのこが、後10分で焼けるよー。というタイミングで、オーブン内の筍の横に入れましょう。
 
  • 網焼きにすると、下に敷いたみそとご飯におこげが出来て、これもまたおいしい!
 

ワインを飲み終わったら、その場で仕上げて欲しい筍料理の定番をもうひとつ。

姫皮のお吸い物

 
  1. 出汁+薄口醤油+塩で味を調えたお吸い物を用意します。
  2. 焼き筍の穂先をめくり、姫皮(クリーム色の軟らかい皮の層)をとって、適当な大きさに切り、お吸い物に浮かべます。
  • わかめを一緒にいれるのもおいしいですよー。

ワインも良いのですけれど、この時期の新茶も捨てがたい・・・
今年の八十八夜は、5月2日。(2月3日の立春から数えて88日目)
春の香りを身体いっぱい吸い込んで、ゆっくり癒していってくださいね。

来月も、おいしい食材見つけてご紹介しますね!お楽しみにー。