季節の食卓

みなさん、こんにちは。フードビジネスコーディネーターの加賀谷恭子です。

仕事がら、いろんな食材を扱って調理をしています。食材は、季節ごとにおいしいものがあって、それは普段忘れかけている昔ながらのものもあれば、新しく生まれたものまで、本当に様々。折角ですから、これから私が出会ったいろんな食材を少しずつ取り上げて、食材のことから考えて作る“季節の食卓”をテーマに、コラムを毎月更新していこうと思っています。 
中でも、私はお野菜を中心とした極々シンプルな調理のごはんを得意としております。だって、農家のみなさんが手間隙かけて作った、自然のチカラが溢れんばかりのお野菜に触れると、余計なことはしちゃいけないなって思うんですよ。お野菜とじっくりお話して、一緒に調理法を決めたりしています。

複雑な調理や、派手なディスプレイはしません。普段、おうちで出来て、いつもよりちょっぴりステキ…という食卓を提案していきます。食べ物を見たり、触ったり、おうちでのごはんが楽しい!って思っていただけたらうれしいです。気が向いた時に、ふらりと見に来てくださいね!

第3回 今日はひとりでピクニック♪・・・うふふな食卓の巻

「いってらっしゃーい!」
いつものように、家族を見送ったら・・・さ、準備を始めましょう。今日は、ひとりでピクニック♪
誰のことも気にせず、自分だけのために作るお弁当。こんな気持ちの良い春の季節、たった1日くらい、そんな日があっても良いのです!(断言)
まずは、近くの公園を探しましょう。いつも行ってる公園の次に近いところなんかがいいです。
次に、お天気を確認しましょう。芝生が濡れていない、晴れの日が続いてる今日がいいです。
カメラなんかも持って行ってみませんか?私は大好きなピンホールカメラを持って行きます。
自分だけのために費やす、贅沢な時間。完璧なシチュエーションで出かけましょうよ!

それでは早速、うふふな食卓です。

ジャーン!

もう春なんだなぁ…という のほほーんな食卓

お弁当箱を見つけましょう。ひとり分だから、何かの空き箱でもいいんです。

私は、お土産用の蕎麦が入っていた籠。
それに、お気に入りのナプキンを用意して。
桜の柄と、無地の濃いめの紫の、渋い小さめ風呂敷2枚を敷きました。食べ物が触れる部分には、クッキングペーパーを敷きます。
今朝のニュースが桜の話題だったので、お弁当のテーマは「桜」に決定!桜の淡いピンクが主役となれば、後は葉の緑と、全体を引き締める濃い青系の色でまとめます。


お弁当を作る時は、設計図を描きます。色や形を決めながら。自分の好きな食べものの中から、その色のものを思い浮かべて、調理法を考えます。お弁当作りに慣れている方は、生もの、焼き物、揚げ物と、バランスも考えて。もっと慣れている方は、栄養バランスもね。

いっただきまーす♪

・・・その前に、お料理の説明です。

もちもち桜ごはん この後、桜のコーナーでお話しますね。
春小かぶの菜めし かぶの浅漬けを作る時の、茎の部分を細かく切って塩もみし、少し置いて水気をぎゅーっと絞って青臭さを取り除きます。そのままごはんに混ぜて。
のりたまごはん 「のりたま」好きなんですもの。
落花生 千葉県大栄町の「千葉半立」。栽培から煎りまで千葉県産という落花生は、とても貴重なものになってきました。漂白をしていないので、一般的なものより土色をしています。白い必要は全くなし!その分、香りも旨みもしっかり残っている、素晴らしい落花生です。お見事!
で、どうして突然、落花生かって?だって、公園に行ったら鳥が遊びに来るかもしれないから、友情の証しに少し分けてあげようと思って・・・
春小かぶの浅漬け 彩りを考えて、葉を少し残した状態でかぶを切ります。春かぶは、皮が柔らかいので、剥かなくても大丈夫。かぶ全体の2%の重さの塩を振り、生姜の千切りと昆布を一緒にビニール袋に入れ、空気を抜いて口を縛り、お弁当が出来上がるまで置いておきます。
木の芽のたまごやきミニ ひとり分だし、卵2個で。木の芽を刻んで混ぜ、出汁とうすくち醤油、お好みでお砂糖を少し入れ、小さく筒状に丸めるように焼きます。
お弁当箱の高さに合わせて切ります。
アスパラのチーズのせホイル焼き アスパラのおいしい季節。ホイルに熱で溶けるお好みのチーズを乗せて、切ったアスパラを乗せ、塩こしょうを振ってホイルをきっちり閉じます。オーブントースターで7分。
ポイントは、これも設計図どおりの長さに切ること。
鶏のから揚げ お弁当と言えば、鶏のから揚げは必須でしょう。私は、はちみつと生姜と醤油に漬け込んで、小麦粉をまぶして揚げます。それぞれのおうちの味があるものですから、いつもの調味料で。
山うどの胡麻和え 山うどって、全部食べられるんですよ。あまり調理しない方が多いみたいですけれど、とっても簡単です。では、簡単な調理は、この後山うどのコーナーでお話します。
桜餅 甘味は必須ですから。これも、桜のコーナーでご紹介。




それでは、うふふな食卓の今回の主役。

 
 

桜の塩漬け

八重桜が7分咲きの頃に摘んで、食塩で漬け込んだものです。スーパーでは瓶づめのものをよく見かけます。

桜の葉の塩漬け

静岡県西伊豆の松崎町のものが有名です。伊豆産が多いですね。大島桜(オオシマザクラ)の葉を半年くらい塩に漬けたもので、大島桜でないと、緑のきれいな色にならないそうです。

もちもち桜ごはん

  1. 米をとぎます。もち米1.5合、白米1.5合をといで30分以上ざるにあげておきます。
    もち米:白米の比率は、お好みで。もちろん白米だけにして、もちもちさせなくてもOKです。

  2. 桜の塩漬けを30g水に漬けて5分くらい塩抜きします。
  1. 塩抜きした桜の中から、きれいな形のものを3つ飾り用にとっておき、他は花びらだけを手でちぎり取り、包丁で刻みます。花だけのほうが口当たりが良いです。
  1. 米にいつも炊くように3合分の水を入れ、大さじ2杯の水を捨てて、その分大さじ2杯の酒を入れ、ぬれふきんで軽く汚れをふきとった昆布と、3で刻んだ桜の花を入れて、炊飯器で炊きます。

  2. 炊き上がったらすぐに底からさっくりかき回して少し蒸らし、俵型にむすんで、さっと水で流して水気をふき取った桜の葉を巻きます。
 
桜餅(関東風:長命寺)
 

長命寺(ちょうめいじ)の門番をしていた人が落葉の掃除をしていて、「この葉を何かに使えないだろうか」と考えたのが、桜の葉を使った桜餅だったことから、長命寺と名づけられているのだとか。

今回は、お買い物中においしそうな桜餅を見つけたので、買ってきて入れましたが、フライパンで簡単に作れます。このレシピは、いいですよ。
http://www.cuoca.com/library/kikangentei/spring/06sakura_02.html

電子レンジでも作れるんですよー。もちもちします。
http://allabout.co.jp/family/singlelife/closeup/CU20060314A/

ちなみに、関西風は道明寺。

もち米を蒸して乾燥させて砕いてある道明寺粉という粉を使って作ります。
 
山うど
 

うどは、光を遮断して室内で育てたもの。山うどは、日光に当てて栽培したもので、自生と栽培があります。山うどは香りが強く、より本来の、うどらしさを楽しめます。ただ、アクが強いので、アク抜きをしてからの方が、キレイに仕上がります。

 

 

 

 

保存と調理

早めに食べてしまった方が、おいしいに決まっていますが、保存する場合は、下ごしらえ(この次に紹介する胡麻和えの作り方の8番まで)をして冷蔵庫に入れましょう。

そのまま保存する場合は、新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。

山うどの胡麻和え

 
  1. 山うどは、たわしで軽くこすって洗い、毛をとってツルツルにします。

  2. 下の硬い部分だけ切り落とし、これも設計図どおりの長さ(アスパラと同じ長さ)に切ります。



  3. 繊維に沿って、皮をむきます。根元の方は厚めに。皮は捨てないで。切ったものから酢水につけていきます。

  4. 中の白い部分を縦に太さが揃うように4等分〜6等分にします。

  5. 酢水に10分以上浸けて、アク抜きします。その間に、お鍋にたっぷりのお湯を沸かしておきましょう。

  6. まず皮を入れて茹ではじめ、次に頭の緑の部分を入れます。

  7. 最後に白い部分を入れて、すぐに火からおろしてざるにあげます。この部分は、生でも食べられるので、ささっと。

  8. 出汁(水でもOK)に浸しておきます。

    ◆保存する場合は、ここまでやっておきましょう◆

  9. 白いり胡麻をすり(すり鉢か、ミキサーで)、白だしで固めのペースト状にして、みりんで味を調え、和え衣を作ります。

  10. 山うどの水気を切ってから、和えて完成!
 

では、いっただきまーす!

お日様を浴びて、のんびりお弁当を食べながら、大好きなピンホールカメラで撮影です。


結局、鳥は遊びに来なかったので、落花生も全部食べちゃいました。

・・・ごちそうさまでした。