季節の食卓

みなさん、こんにちは。フードビジネスコーディネーターの加賀谷恭子です。

仕事がら、いろんな食材を扱って調理をしています。食材は、季節ごとにおいしいものがあって、それは普段忘れかけている昔ながらのものもあれば、新しく生まれたものまで、本当に様々。折角ですから、これから私が出会ったいろんな食材を少しずつ取り上げて、食材のことから考えて作る“季節の食卓”をテーマに、コラムを毎月更新していこうと思っています。 
中でも、私はお野菜を中心とした極々シンプルな調理のごはんを得意としております。だって、農家のみなさんが手間隙かけて作った、自然のチカラが溢れんばかりのお野菜に触れると、余計なことはしちゃいけないなって思うんですよ。お野菜とじっくりお話して、一緒に調理法を決めたりしています。

複雑な調理や、派手なディスプレイはしません。普段、おうちで出来て、いつもよりちょっぴりステキ…という食卓を提案していきます。食べ物を見たり、触ったり、おうちでのごはんが楽しい!って思っていただけたらうれしいです。気が向いた時に、ふらりと見に来てくださいね!

 

第12回 「めでたいものは、全部いただきます!な食卓の巻」

新年明けましておめでとうございます。
今年もおいしいごはんを食べましょう!
今年1年のステキな食卓を願って。本来は1月2日の行事ですが、一足早く書き初めを。

 

 

 

 

 

 

正月といえば、おせちと静岡おでんですね(うそです)。おせち料理って、残りませんか?盛りつけてみたらお重に入りきらなかったり、買ってきたら人気が偏ってしまったり・・・母はいつも、毎食タッパーから追加したり、ひとつにまとめたり。手を変え、器を変え、私に食べさせようとします。そこで今回は、おめでたいおせち料理を残さず食べる食卓を作ってみました。

それでは早速、めでたいものは全部いただきます!な食卓です。

おせち料理はハレの日の食事。お重に美しく盛られた料理は、元旦はウキウキしますが、それ以降は正直ちょっと疲れてきてしまう・・・でも、日持ちするものだし、せっかく縁起の良いものばかりですから、ケ(日常)の食卓にアレンジしてみました。

器は、素朴で手に取った時ほっとする、気取らないものを。ハレの日に活躍する、金や赤を避けて、落ち着いたトーンのクロスを敷いて。しっかりと手を合わせて「いただきます」という食卓です。

それでは、お料理の説明です。

おなますで、ちらし寿司風

なますを刻んでごはんに混ぜてちらし寿司風に。

  1. なますは汁気を絞って、細かく切ります。絞った汁もとっておきます。
  2. 油揚げは網で焼いて焦げ目をつけ、細かく切ります。

  1. 熱いごはんに切ったなますと油揚げを混ぜ込み、味をみながらベタつかない程度になますの絞り汁を混ぜ、ごはんを冷ましていきます。
  2. 器に盛って、胡麻をかけて出来上がり。
  • 味が薄い場合は、薄口醤油で補うと良いですよ。
  • 今回は、玄米で作りましたが、もちろん白米でもおいしく出来ます。

昆布巻のおすいもの

昆布巻に吸い地を注ぐだけで、風味豊かなお吸い物に。にしん入りの昆布巻でも。

  1. 昆布とかつおで出汁をとります。
    季節の食卓9月号“だしの取り方”参照
  2. 酒、薄口醤油、塩で味を調えます。
    ・昆布巻に味がついているので、気持ち薄めに
  3. 器に昆布巻を入れ、出汁を注ぎます。
  4. 小葱を入れて出来上がり。

 


伊達巻、田作り、蒲鉾ででコブサラダ

ハリウッドのボブ・コブさんが作った具だくさんサラダ「コブサラダ」。おせちで作ってみました。

  1. 伊達巻、蒲鉾、アボカドを1cm角に切ります。
  1. ミックスナッツは塩付きのままミキサーで細かく砕くか、包丁で刻みます
  2. 田作りにナッツをからめて、にぼしを1尾ずつバラバラにします
  1. ベビーリーフなど、好きな葉物に全部乗せて盛ります。田作りをからめた残りのナッツもかけちゃいましょう!
  2. 好きなドレッシングをかけ、全部混ぜて召し上がれ!
  • コブサラダはクリーム系のドレッシングが多く使われます。今回は、具が和風素材なので、すった胡麻+出汁+薄口醤油+マヨネーズで胡麻マヨネーズドレッシングにしました

 


お煮しめがんも

お煮しめと豆腐を混ぜて、油で揚げてがんもに。

  1. 豆腐をキッチンペーパーで包んで軽く重しをして、水切りしておきます。しっかり水切りした方が、まとまりやすくなります
  2. お煮しめを細かく刻みます。フードプロセッサーがあると楽ですね。私は持っていないので、手で刻みました。
  3. 混ぜます。
  • お煮しめにしっかり味がついているので、味付けはしなくて大丈夫ですが、味見して足りなければ、醤油か塩を足してください。
  • まとまりが悪い場合は、少し片栗粉を足して混ぜてください。

  1. 揚げ油を180℃に熱し、スプーンでそっと入れて揚げます。
  2. 浮いてきて、きつね色になったら油を切ります。
  3. あんかけをつくります。お吸い物でとった出汁を火にかけ、酒、みりん、薄口醤油、塩で味付けします。少し濃いめにしておくと良いです。
  4. 同量の水で溶いた片栗粉を沸騰している出汁に入れ、手早くかき混ぜまぜながら、40秒くらい火にかけて粉っぽさを消します。
  5. 器に盛ったがんもにかけて、葱や生姜をのせて出来上がり。私は、出汁でさっと煮た長葱をのせました。

黒豆あんこ&栗きんとんアイス

お黒豆と栗きんとんを少しアレンジしてバニラアイスに乗せて、ちょっとした甘味に。

  1. 栗きんとんの栗をはずし、きんとんに牛乳を混ぜてソースにします。

  1. 黒豆に少し熱湯を足して、フォークでつぶしてあんこにします。
  2. バニラアイスに黒豆あんこと栗をのせ、きんとんで作ったソースをかけて出来上がり!

それでは、めでたいものは全部いただきます!な食卓の今回の主役。

おせち
   

今回は、おせち料理の基本をカンタンにまとめてみますね。もともとは神に供え、それを家族でいただくというところから、縁起の良いものばかりで構成されています。また、正月に火を使うのは火の神が怒るという理由から、火を使わずに食べられ日持ちするものばかり。
江戸時代の頃から現代まで、少しずつカタチを変えながらもずっと残っている正月料理のおせち。意味を考えながら食べるとまた楽しいですね!

基本は四段重ね。完全をあらわす「三」に、さらに一つめでたさを重ねるという意味があり、もう一段空の「五の重」を重ねて、現在が満杯なのではなく今後さらに繁栄していく余地があると表現することもあります。

一の重・・・「三つ肴」と「口取り」

「三つ肴」は、黒豆・数の子・田作り(関西では、たたきごぼう)。祝い肴の三種で、昔はなんとかこの三種と餅さえ準備できれば最低限の正月の祝いが出来るとされていた三種です。

  • “黒豆”は魔よけの力がある黒と、マメに働き、マメに暮らせるように、
  • “数の子”は一腹に抱える数が多いニシンの卵で子孫繁栄の願いをこめて、
  • *“田作り”は片口いわしを肥料にした田畑が大豊作だったことから五穀豊穣をって。

「口取り」は、きんとん・伊達巻・蒲鉾など

  • きんとんは「金団」で金の団子。金運を呼ぶ縁起物。
  • 伊達巻の「伊達」は派手・豪華の意味があり、それが巻き物になっていることから、知識が増えるように。
  • 蒲鉾は、紅白で飾り、色の縁起の良さから。

二の重・・・「焼物」

鯛の塩焼きが多いですね。『めで“たい”』ので、祝いの魚として尾頭つきで出されます。
海老もよくみかけます。長い髭と曲がった腰が老人を連想させ、長寿を願うものです。

三の重・・・「酢の物」

なます・酢かぶら・酢ばす(酢れんこん)など。

与の重・・・山のものの「煮物」

八頭・ごぼう・お煮しめ・昆布巻など。

「四」は縁起が悪いので「与」という字を使います。

五の重・・・

で、五段目は空のお重です。最近はほとんど省略されていますね。私の実家でも空のお重が出てきたことはないです。

 

では、今年も静岡の実家でいっただきまーす♪

家族でおせち料理を食べるって、やっぱり良いものですね。
   
   

今年も「季節の食卓」をよろしくお願いいたします。

楽しいごはんをもりもり食べましょうね!