季節の食卓

みなさん、こんにちは。フードビジネスコーディネーターの加賀谷恭子です。

仕事がら、いろんな食材を扱って調理をしています。食材は、季節ごとにおいしいものがあって、それは普段忘れかけている昔ながらのものもあれば、新しく生まれたものまで、本当に様々。折角ですから、これから私が出会ったいろんな食材を少しずつ取り上げて、食材のことから考えて作る“季節の食卓”をテーマに、コラムを毎月更新していこうと思っています。 
中でも、私はお野菜を中心とした極々シンプルな調理のごはんを得意としております。だって、農家のみなさんが手間隙かけて作った、自然のチカラが溢れんばかりのお野菜に触れると、余計なことはしちゃいけないなって思うんですよ。お野菜とじっくりお話して、一緒に調理法を決めたりしています。

複雑な調理や、派手なディスプレイはしません。普段、おうちで出来て、いつもよりちょっぴりステキ…という食卓を提案していきます。食べ物を見たり、触ったり、おうちでのごはんが楽しい!って思っていただけたらうれしいです。気が向いた時に、ふらりと見に来てくださいね!


第24回 「乾物を使いこなす女ってかっこいいよね。の巻」

あけましておめでとうございまーす!! 今年もおいしいごはんをたくさん作って食べましょう。

「乾物をさらっと使いこなす女って、ホントかっこいいですよね。」
昆布屋さんの工場に遊びに行った時のこと。突然、専務が言い出しました。
乾物は日本の料理の原点とも言うべきもの。昆布、鰹節、煮干、干ししいたけ・・・出汁の基本です。干し大根、ひじき、干瓢・・・おふくろの味的安心感。それを、さらっと使いこなす人って・・・確かにかっこいい!!私もそんな母を見て育ち、やっぱりかっこいい!と思っていました。
乾物を使うのって、そんなに難しいことではないんです。一昔前の人たちは、なんの躊躇もなく使っていたものですから。ただ、時代も変わり日々の調理に時間をかけられないことが多くなった今、時間という点ではインスタントや完成品には敵わない。でも、たまには時間をかけて料理を楽しむことがあってもいいし、好みの味で我が家のごはんを作りたい。
そんなことを思ったので、今回は乾物を使った食卓を作ってみることにします。新年に日本の料理の原点を。そして、料理の原点といえば、おそらく私が一生かかっても料理の腕とセンスでは敵わない、かっこいい母の料理。いつもは「そんなの適当よ。味を見ながら入れるの。」という目分量の母から分量を聞きだしたので、私の母加賀谷君代の干物料理をみなさんに伝授。料理慣れしてない方でも作りやすいものばかりなので、ぜひ作ってみてくださいね!

それでは早速、乾物を使いこなす女のかっこいい食卓です。

家庭料理はみんなで仲良くつつきたいなーと思ったので、大皿に盛りました。乾物を使った料理って、色が地味になることが多いですね。だからと言って、明るい色を入れたくて無理矢理つけ合わせに旬でもないトマトを持ってきたり、残してしまうとわかっているのに葉物を敷いたり・・・というのは、もったいないと思うんです。地味だと思っていたものを、滋味豊かだな・・・と思ってみる。そうすると、無理なつけ合わせなんていらなくなるし、それがより滋味豊かに見える器を選べば良いんだな・・・と。どんなに地味な人でも自分が大好きな彼氏だったら、彼の良さを活かす服を買ってあげたい。そんな気持ちに似ています。

それでは、お料理の説明です。

ひじきのしょうが煮

ひじきには、油揚げやにんじんを入れなくちゃいけないなんて決まりはないんです。

  1. ひじきはぬるま湯で戻す

    *下に砂が溜まるので、ざるにザバーっとあけずに、ひじきをつまんで取るようにします

  1. 鍋に、砂糖小さじ2、みりん大さじ2、醤油大さじ2を入れて煮立て、水気を切ったひじきを加えて中火で煮からめる

  2. 火からおろして、しょうがのみじん切りを加えてよく混ぜる

 

高野豆腐の 射込み いこみ

これこれ。よく食べました!高野豆腐に染み込んだ煮汁がたまらないのです。

  1. 高野豆腐4枚は、大きなバットに並べてぬるま湯をたっぷり注ぎ、浮かないように木のフタやお皿をのせます

  2. 冷めるまで待ちます

  3. 水の中で手で押し洗いし、両手で挟んで絞ります
  1. 厚みに切り込みを入れて袋状にします
  1. 人参1/2本は6mmの輪切りにして、型抜きし、下茹でする

    *クッキーの型などを使って、お好みのカタチに。
  1. 型抜きした残りも含めてみじん切りにした人参を大さじ3、同じくみじん切りのねぎを大さじ3、戻したきくらげのみじん切りを大さじ3、鶏ひき肉200g、卵1個、酒大さじ1、塩小さじ1/3、しょうが汁小さじ1/2をよく混ぜ、高野豆腐の切れ目に等分に詰める
  1. 鍋にだし汁3cup、酒大さじ1、みりん大さじ2、砂糖大さじ1、薄口醤油大さじ2を煮立てます

  2. 豆腐を並べて再度煮立ってきたら、落しぶたをして5分

  3. 型抜きした人参を加えてさらに5分煮含めます

 

割干大根と手羽先煮

切干大根も良いけれど、割干の歯ごたえもまた良いものです。


  1. 割干し大根は、水洗いしてたっぷりの水に20分くらい浸し、水気を切って4cmくらいに切ります

    *割干し大根が近所で見つからなかったので、手切り大根を使いました

  1. 手羽先を2つに切り、鍋に油を熱して皮目からこんがり焼いて、大根も入れて炒めます

    *私は手羽先を2つに切らずにそのまま焼きました。
  1. 酒大さじ3をふって、水1.5cup入れ、煮立ったら弱めてアクを取ります。

  2. しょうが薄切り3枚、みりん大さじ2、砂糖大さじ1、醤油大さじ2を加えて10分くらい煮ます

  3. しょうゆを大さじ2くらい味をみながら追加して10分煮含めます

 

かんぴょうと牛肉の中華風

かんぴょうも巻き寿司だけじゃないんです。

  1. 1. かんぴょう50gを水洗いし、多めの塩を振ってもみ、再度水洗いします

  2. 3〜4cmに切ります

  1. ほうれんそうを洗って2〜3等分に切り、油で炒め、塩こしょうをして器の周りに円形に盛りつけておきます
  1. フライパンに油をひいて、みじん切りのにんにく1片を入れて弱火であたため香りが出たら、火を強めて牛肉を炒めます

  2. 牛肉の色が変わったら、かんぴょうも入れて炒めます

  3. 酒大さじ1、砂糖大さじ1、醤油大さじ3をいれ、こしょうを振ります 7. 最後に水溶き片栗粉でとろみをつけ、ごま油を振って、皿の真ん中にのせます

 

貝柱のスープ

貝柱さえ戻しておけば、すぐに出来るスープです。とっても簡単!


  1. 貝柱2つはぬるま湯に浸して一晩おきます

  2. 別の器に、はるさめ10gと、白きくらげ6枚をぬるま湯に浸して戻します

  3. 鍋に、貝柱を戻し汁ごと入れ水を足して4cupになるようにします

  4. 白きくらげ、はるさめを加えて火にかけ、酒大さじ1、薄口醤油少々、塩小さじ2/3くらいとこしょうで味をととのえます 5. 香り付けにごま油大さじ1/2を落とし、あれば香菜をのせます

    *香菜が苦手な方は、小ねぎでもOK


それでは、乾物を使いこなすかっこいい女を助けてくれる今回の主役。

干し大根

総菜キングという感じの切干大根。大根を天日と寒風で干すことで、栄養も旨みも増すというものです。11月頃からおいしくなる大根を使って、お日さまのパワーと冬の冷たい風で干す・・・今が一番おいしい時期ですね。常備しておくと、もう一品欲しい時にとっても便利です。

選び方

切干大根が一番メジャーですね。細く短く切ってあり、安価で使いやすいです。手切り大根は少し太めで噛みごたえあり。花切り大根は、輪切りにした大根を干したもの。今回近所で手に入らなかったけれど、割干大根は縦に長いまま切って干してあるので、料理に合わせて好きな長さに切ることができます。
同じ大根でも、切り方で食感が違います。サラダには切干や花切り、重ための炒め物には手切りや割干など、料理によって使いわけるとバリエーションも広がりますね。

戻し方

実際は、ささっと水洗いしたらすぐに料理に使えます。ね、全然難しくないでしょ?生の大根よりカンタンなくらいです。汁ものに入れる時などはそれで十分です。戻した時の出汁が加わって味に深みが出ます。
調理時間が短かい炒めものや、水気の少ない料理の時には、水に浸して少し柔らかくしてから使いましょう。ぬるま湯だと戻し時間が早まります。長く浸しすぎると、味も栄養分も流れ出てしまいますので、戻しすぎに注意です。手で触って、感覚でわかるようになったら、かっこいいですねー!

 


今年もおいしいものたくさん食べましょうねー! 来月もお楽しみにー♪